「顧みられない熱帯病」シャーガス病 長崎大が診断キット設計へ 米・スペインの研究機関共同
長崎大大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科は7日、中南米を中心に約700万人の患者がいるとされる寄生虫感染症「シャーガス病」の迅速血清診断キット設計を目的とした共同研究契約を、米国とスペインの研究機関と結んだと発表した。 シャーガス病は、トリパノソーマ原虫という寄生虫が昆虫のサシガメを媒介して人に寄生し感染する。毎年約1万2千人が亡くなっており、世界保健機関(WHO)が定めた「顧みられない熱帯病」の一つ。 感染初期は血液サンプルを採取し顕微鏡で寄生虫を見つけて診断するが、慢性期になると寄生虫が血液中にほぼいなくなる。このため、現状は感染の有無を調べる血清検査を2種類以上用い、それでも確実な検査結果が得られないことがある。研究では、原虫のゲノム(全遺伝情報)を解析して、慢性期でも即座に感染の有無が分かる診断キットの開発を目指す。 同研究科の平山謙二教授(寄生虫学)の研究室が中心で、米デュレーン大公衆衛生・熱帯医学大学院とスペイン・バルセロナグローバルヘルス研究所との共同研究。契約は9月25日付で期間は2年間。4年以内の診断キットのプロトタイプ(原型)作製を目指す。 平山教授は「キットができれば、安価で信頼性の高い製品が普及でき、多くの人が恩恵を受けられる」としている。