消防詰め所を地域の拠点に NPOがワークショップ開催 館山市西岬地区(千葉県)
消防団の詰め所として改築される館山市の旧館山消防署西岬分署の建物を、地元住民の防災や交通手段の拠点にできないか――。同地区を拠点に活動するNPO法人「ゴンジロウ」が、こんなアイデアについて話し合うワークショップ(協議の場)を、13日午後1時半から西岬地区公民館で開く。 ゴンジロウは、東京大学大学院の岡部明子教授の研究室が主体になって運営。西岬地区を舞台に、建築やまちづくりの視点から、高齢化や過疎化が進む中での地域の在り方、住民同士のつながりなどについて研究を進めている。 安房郡市消防本部と館山市によると、西岬分署の建物は1972年に完成した。分署の機能は今年4月から神戸分署に統合。建物は老朽化のため取り壊し、25年度に地元消防団の詰め所を新たに建設する計画になっている。 ゴンジロウは、建設される建物に、地域住民と消防団が平常時からつながって災害時に備えたり、住民同士の日常的なコミュニティーづくりの場にしたりする機能も持たせ、併せて市中心部などへ出掛ける際の交通の拠点としても利用する構想を描く。全国の大学などに呼び掛けて、30歳以下の若者から建物の設計や構造、どんな設備を置き、どんな機能を持たせるか、などについてアイデアを募った。 ゴンジロウの日比野遼一さん(28)によると、応募期限の6月30日までに25件の提案が寄せられた。シェアキッチン、学童保育の教室を併設する、地元住民で共有する道具の倉庫と住民向けの展示スペースをつくる、などのアイデアがあったという。 寄せられたアイデアは、設計事務所の幹部や大学教員、乗り物研究者らが審査。7月8日に発表する1次審査をパスしたアイデアについて、13日のワークショップで検討する。提案者が自分のアイデアを説明し、消防団関係者や住民らからも意見を出してもらう。その結果も踏まえて審査員が8月17日に最終審査し、建物の設計業者を決める入札の参加企業に提案。設計案に反映してもらえるように働きかける。 日比野さんは「今回の提案が採用されなくても、全国で同じような課題を抱える地域の防災や交通手段の在り方を考えるきっかけになれば」と話している。