「貢献はほぼゼロに近い」それでも上田綺世が力を込めた“オランダ1年目の価値”。激白30分にみる日本代表ストライカーの進化形【現地発】
「1年通して積み上げてきたものを表現しなきゃいけない」
初めてのオランダリーグということで、苦労する要素は多々あったはずだが、やはり一番苦労したのはポジション争いを含む、ビッグクラブで自身を表現するということ。 「自分のチームにいかに自身がマッチしていくか(に苦労した)。同じポジションに良い選手(サンティアゴ・ヒメネス)がいた。そこで結果を残して自分のポジションを取るということに苦労した。今まで経験したことのないぐらい、所属するクラブのレベルがグンって上がって、そこで『自分が何を表現しないといけないか』『どこが抜けているか』『どこを伸ばさなきゃいけないか』とやらないといけないことは山ほどあった。自分のパフォーマンスを向上させて、自分のチームの結果に反映するところまで持っていくことが、この1年を通して1番難しかったことです」 結果を残せなかった時期も、アルネ・スロット監督は上田について「ものすごいポテンシャルを秘めた素晴らしいストライカー」「綺世はアジアカップで自信を満タンにしてフェイエノールトに戻ってくれば良い」「ヒメネスが開幕から絶好調だったのは綺世にとってアンラッキーだった。彼がスタメンでずっと試合に出ていたら、ヒメネスと同じ数のゴールを決めていたことは間違いない」などとコメントしながら擁護していた。その指揮官は来シーズン、ユルゲン・クロップの後を継いでリバプールの監督に就任する。 「プロ、アマを含めて自分が経験してきた監督とはまったく違うサッカーの価値観を持ち、僕も高いクオリティーを求められた。そこに挑戦するっていうのは僕にとってすごく楽しかった。自分を必要として獲得してもらったなか、僕は結果として貢献できず悔しいですけど、僕のサッカー観や自分の選手としての幅の広がりといった面で、自身のキャリアとしてもすごい大きな1年になりました」 シーズン大詰めに掴んだレギュラーの座、蘇ったゴールの嗅覚。その良い手応えを感じながらシーズンオフに入る。来シーズンへの上田の意気込みは? 「今シーズン、1年通してずっと自分が積み上げてきたものを来シーズン表現しなきゃいけない。それはもちろん表現するだけじゃなくて、結果で貢献していかないと、自分のポジションはないし、自分のキャリアにも繋がらなくなるんで、来年また成長しなきゃいけない。自分の中でいろんなことに挑戦しながら、結果を出したい」 取材・文●中田 徹
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