ポルシェ911 GT3の改良新型発表! GT3ツーリングパッケージと同時にデビュー。国内予約受注開始は年内を予定
ポルシェAGは10月18日、改良を受けた新しい「911 GT3」「911 GT3ツーリングパッケージ」を発表。これを受けてポルシェジャパンは両モデルの予約受注開始を年内に予定していることを明らかにした。税込車両価格はいずれも2814万円で、両車ともにトランスミッションは7速DCT(PDK)と6速MTを設定。ハンドル位置は左右から選べる。GT3で初めてヴァイザッハパッケージを設定。GT3ツーリングパケージ仕様車にはリヤシートがオプションで選択可能に 1999年のデビュー以来、911 GT3はレースの遺伝子と日常の使いやすさの究極の組み合わせを提供してきた。その誕生から25周年を記念して、新しい911 GT3はリヤウイングを備えたサーキット重視のスポーツカーと、ツーリングパッケージを備えたより控えめなモデルの2バージョンが初めて同時にデビューした。テーラーメイドパッケージと革新的なオプションにより、GT3の両バージョンはオーナーの好みや用途に合わせてさらにカスタマイズすることができる。 スタイリングはよりモダンに 新しい911 GT3は、フロントとリヤのデザインがシャープになり、エアロダイナミクスも改良された。両バージョンとも、フロントディフューザーの輪郭変更、スポイラーリップの形状改良、アンダーボディのフィンの改良がダウンフォースを増加させ、エアフローを最適化する。再設計されたLEDマトリックスヘッドライト(ホワイトアクセントリングをオプション装備)は、911のすべてのライト機能を兼ね備えており、フロントエプロンに追加のライトが不要に。これにより、エアインレットエリアが拡大し、明確な構造の外観となった。 リヤでは、ディフューザー、エアインレット、リヤリッドのデザインが変わり、911 GT3のリヤウイングには、角度のついた新しいサイドプレートが装備されている。 ダブルウィッシュボーンのフロントアクスルには、エアロダイナミクスに優れた専用開発のティアドロップ型トレーリングアームを採用し、高速走行時にホイールアーチのダウンフォース増加とブレーキ冷却の改善に寄与。高速からのブレーキング時でもフロントアクスルとリヤアクスルのダウンフォースバランスが保たれるように、サスペンションエンジニアはピッチング(アンチダイブ)を低減した。新しい911 GT3では、これを実現するために、ロワトレーリングアームのフロントボールジョイントがフロントアクスルのより低い位置に設定されている。911 GT3は、現行の911 GT3 RSからこれらの変更を採用した。911 GT3には、ウェットグリップが向上したフロント255/35ZR 20、リヤ315/30ZR21のスポーツタイヤを標準装着。オプションで、公道走行が可能なサーキット用タイヤも用意されている。 新型軽量アルミニウムホイールはバネ下重量を従来モデルより1.5kg以上軽減 911 GT3の俊敏でダイレクトなハンドリングには、その軽い車重が貢献している。新しい911 GT3は軽量設計が徹底追求された。シルバーカラーの新型軽量アルミニウムホイールは、バネ下重量を先代モデルより1.5kg以上軽減。ヴァイザッハパッケージまたはライトウェイトパッケージのマグネシウムホイールもオプションとして用意されており、9kgの軽量化に寄与する。新しい40Ahのリチウムイオン軽量バッテリーは、さらに約4kgの軽量化を実現し、このアスリートのBMIを向上させる。最も軽量な構成では、新しい911 GT3の重量はわずか1420kgに収まる。 最終減速比は従来型より8%短縮 自然吸気式の4.0L水平対向6気筒エンジンは、現在の非常に厳しい排気ガス基準に合わせて設計されており、2つのパティキュレートフィルターと4つの触媒コンバーターを装備している。この極めてパワフルなエミッションコントロールシステムにより、ポルシェは魅力的なサウンドスケープも実現する。シリンダーヘッドは改良され、911 GT3 RS譲りのシャープなカムシャフトは、高回転域でさらにダイナミックなパフォーマンスを発揮する。また、流量を最適化した各スロットルバルブと最適化されたオイルクーラーも採用された。最高出力は従来版の510psを維持。これは、改良された高回転自然吸気エンジンの1kWが、最も軽い車両構成でわずか3.8kg(2.8kg/ps)を動かせばよいことを意味している。 7速PDKと6速MTの最終減速比は、先代モデルよりも8%短縮。どちらのトランスミッションも、911 GT3と911 GT3ツーリングパッケージの両方で選択可能だ。PDK仕様車は3.4秒で100km/hまで加速し、最高速度は311km/hに達する(MT車は3.9秒、313km/h)。 ブランドアンバサダーのイェルク・ベルクマイスター氏はこのように述べている。 「新型911 GT3は、最適化されたダンパーのチューニングにより、バンプや縁石を乗り越える際の安定性とハンドリングが向上しているため、サーキットではさらに優れた制御が可能になります。アンチダイブシステムは、ブレーキング時のピッチングを著しく軽減します。その結果、あらゆる状況下で車両のバランスが大幅に安定します」 革新的な軽量スポーツバケットシート 新しい911 GT3には、可倒式バックレストとCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製シートシェルを備えた新しい軽量スポーツバケットシートがオプションで用意されている。シートには胸部エアバッグが内蔵され、高さ調節は電動式、前後調節は手動式で、オプションで3段階のシートヒーターも選択可能だ。ヘッドレストパッドの一部は取り外すことができ、これによりサーキット走行時にヘルメットを着用するほとんどのドライバーの人間工学が改善される。ループによるバックレストの可倒機能により、911 GT3ツーリングパッケージ仕様車で初めて提供されるオプションのリヤシートシステムにアクセスすることができる。スポーツバケットシートに代えて、アダプティブスポーツシートプラス(電動18way調整機能付)を選ぶこともできる。 コックピットは現行911モデルのデザインがベースとなっているが、カレラモデルのようなボタンによる始動ではなく、ロータリー式のイグニッションスイッチを採用。中央のデジタルメーターパネルは、明確に構成されたディスプレイと制御コンセプトでドライバーをサポート。コントラストの効いた配色により、レブカウンターとストップウォッチは瞬時に読み取ることができる。「トラックスクリーン」モードでは、レブカウンターの左右にあるデジタルディスプレイが縮小されて、タイヤ、オイル、水、燃料に関する主要なデータが表示され、シフトフラッシュによってドライバーに最適なシフトタイムを示す。必要であればレブカウンターのディスプレイを回転させ、9000rpmのカットオフスピードを12時の位置に表示することもできる。なお、オプションでモータースポーツ志向を高めるロールオーバーバーが用意されている。 固定式リヤウイングを持たない「ツーリングパッケージ」 モデルチェンジにより、ポルシェは911 GT3の各バージョンをより明確に定義している。今回初めて人気の高いツーリングパッケージが、リヤウイングを装着した通常のGT3と同時に登場。「ツーリングパッケージ」という名称は、1973年の911カレラRS 2.7の装備バージョンまで遡り、2017年からは911 GT3の仕様として登場した。新しい911 GT3では、リヤリッドグリルの“911 GT3 touring”ロゴに反映されるように、さらに特徴的になった。911 GT3ツーリングパッケージは固定式リヤウイングを廃止し、911の時代を超越したエレガントなラインを維持している。ティアオフエッジを備えた伸長式リヤスポイラー、有名なガーニーフラップ、アンダーボディに適応されたフィンデザインがエアロダイナミクスバランスを保つ。 インテリアは、上質なレザーインテリアがクラシックでスポーティな雰囲気を放つ。911 GT3ツーリングパッケージにリヤシートシステムが初めてオプションとして用意されたのも新しい。これにより日常的な使用可能なスポーツカーとして、オーナーの希望に合わせてさらに個別調整し、最高のドライビングプレジャーを楽しむことができる。 ポルシェのブランドアンバサダーを務めるヴァルター・ロール氏は次のように述べている。 「特に曲がりくねったワインディングロードでは、ステアリングが先代モデルよりもさらに巧みに調整されていることがはっきりと感じられます。ダイレクト感を失うことなく、センターポジションからより穏やかに反応するので、車に対する信頼感がさらに高まります。ギア比が短くなったことで、ドライビングの楽しさも大幅に向上しました」 多彩な装備パッケージをラインナップ ポルシェは911 GT3にさまざまな装備パッケージを用意している。今回初めてヴァイザッハパッケージが設定されたことで、911 GT3はサーキットで使用するためにさらに個性的な構成が可能になった。リヤアクスルのアンチロールバー、カップリングロッド、シアパネルは、ルーフ、リヤウイングのサイドプレート、エクステリアミラートップシェル、ミラートライアングル、フロントエリアのエアブレードと同様にCFRP製に。さらに、レザーとRace-Texのトリムがインテリアを視覚的に向上させる。ダッシュボード上面は、初めて反射防止のRace-Texで覆われる。CFRP製ドアハンドルと収納ネットにより、軽量化するためにインテリアドアパネルを最適化し、CFRP製ロールケージやマグネシウム軽量鍛造ホイールもオプションで用意されている。 911 GT3ツーリングパッケージには、ライトウェイトパッケージを用意。ルーフがエクステリアカラーと同色に塗装され、スタビライザー、カップリングロッド、リヤアクスルのシアパネルがCFRP製になる。マグネシウム軽量鍛造ホイールと軽量ドアパネルもパッケージに含まれる。6速MT(GTスポーツギヤボックス)には911 S/Tの短縮ギアレバーを採用。ギアレバーの前の“Leichtbau”と刻まれたプレートがパッケージの装備を主張する。 リヤウイングを備える911 GT3には、サーキット走行用のクラブスポーツパッケージが追加料金なしで利用できる。リヤにはボルトで固定されたスチール製ロールケージ、ドライバー用の6点式シートベルト、手持ち式消火器が含まれている。パッケージにはオプションの軽量スポーツバケットシートが必須となる。 GTカー部門責任者のアンドレアス・プレウニンガー氏はこのように述べている。 「新型911 GT3は、さらに爽快で個性的になりました。私達は細部まで徹底的に調査し、お客様が望む多くの機能を実現しました。これにより、GT3をドライバーの目的や好みにさらに具体的に適合させることができます」 オーナーが手にできる専用クロノグラフウオッチはまさに“手首にまとうスポーツカー” 911 GT3および911 GT3ツーリングパッケージのオーナーは、スポーツカーのデザインと性能を手首に反映させた、卓越したポルシェ デザインの腕時計を購入することができる。911 GT3クロノグラフと911 GT3ツーリングクロノグラフは、フライバック機能を備えたCOSC(スイス公式クロノメーター)認定の精密なポルシェデザインムーブメントWERK 01.200を搭載している。超軽量チタン製ケース(オプションでブラックチタンカーバイドコーティングを施すことも可能)は、スポーツカーのデザインと現代の時計製造技術を融合。 イエローのアクセントと六角形の構造を備えたGT3デザインの文字盤は車両のメーターパネルを想起させ、巻き上げ式ローターはGT3のリムのデザインに基づいている。ダイヤルリングは、911 GT3と同ツーリングパッケージのすべてのエクステリアカラー、およびPaint to Sampleプログラムのカラーで利用できる。オリジナルのポルシェインテリアレザーと糸を使用して作られたストラップは、それぞれの車両の構成にマッチする。 ●ポルシェ公式サイト「911 GT3」
MotorFan編集部