バンジョーの軽快な響き「ブルーグラス」 熟年バンドが40周年ライブへ
THE PAGE
バンジョーなどの響きで根強い愛好者を持つ音楽「ブルーグラス・ミュージック」。その演奏に打ち込む市民のバンドの結成40年を記念するライブが29日、長野市で開かれます。同市内外の6グループが参加し、バンドの多くは60代も含む熟年パワー。ますます盛り上がるブルーグラスの魅力を探ってみると……。
10月29日に長野市で6バンドが演奏
同市上千歳町のダイニングバー「チェルー」で夕刻から開くライブは、地元のKentucky Ho-Bo(ケンタッキー・ホーボー)、 Blue Grace(ブルー・グレイス)、 Out Of Bounds(アウト・オブ・バウンズ)、Mako Unit(マコ・ユニット)の4バンドと東京、長野県茅野市のバンドの合わせて6バンドが演奏の予定。ライブは毎年開いており、毎回100人近いファンを集めています。 バンドが40年も続いているのはなぜ? ケンタッキー・ホーボーでボーカルとギターを担当する丸山精一さん(69)=長野市・会社経営=によると、1975(昭和50)年12月11日から13日にかけてブルーグラス・ミュージックの父とされるビル・モンローと彼のバンド「ブルーグラスボーイズ」が上田、松本、長野でファンにとっては画期的な公演を行ったのがきっかけ。 公演の楽器運びなどを手伝った丸山さんは、強い影響を受けてバンドの結成に動き、翌年、ほかの仲間も含めブルーグラス・トラッド・バンド(5人)と当時丸山さんが属したシティグラス・リバイバル(4人)の2バンドが発足。毎年のライブも小規模ながらスタートしました。 現在、市内の4つのバンドはそれぞれ独自の活動をしており、年に一度のライブに集まります。今回は、いったん休止していたバンドも復活し70代の男性も演奏を予定。ブルーグラスのバンドでは60~70代以上のメンバーも珍しくありません。
ブルーグラスは6割が失恋ソング?
息の長いバンド活動の背景を、丸山さんは「(カナダから米国にまたがる)アパラチア山脈の近くで育ったブルーグラスはニューオーリンズのジャズなどの影響も受けており、多様な要素を含んでいるところが味わい深く、人を引き付けるのでしょう」と言います。トラック運転手の生活を歌ったトラック・ドライバーズ・ソングや力強く米国大陸を走っていたSLを歌ったトレイン・ソング、ゴスペルなど身近で多彩な世界を歌っているのが特徴です。 また、「6割ぐらいは失恋ソングかも。放浪の旅を歌った曲も多い」と丸山さん。もとはスコットランドの伝統音楽の影響を受けつつ、失恋や平凡でつらい生活を自省的に歌い上げる歌も多く、「少し影の部分を見せながら共感を呼ぶところが人を引き付けるのでは」と言います。Kentucky Ho-Boのバンド名のhoboは旅から旅へ放浪する労働者を指します。