夏季五輪暑熱リスク、元五輪選手ら警告「開催地、季節考え直すべき」 英大学と報告書発表
開幕が迫るパリ五輪を前に、元五輪選手と専門家が3日、オンラインで記者会見し、酷暑下での競技や観戦の危険性を訴えるとともに、今後の夏季五輪に関し提言を行った。 元陸上選手の為末大さんは会見で、「五輪の開催地と季節を考え直すべきだ」と述べ、マラソンなどいくつかの競技を冬季五輪に移すことを提案した。 また、競歩の鈴木雄介選手は、パリ五輪で「選手、観客ともに塩分と水分補給をこまめにできる対策が重要だ」と警鐘を鳴らした。鈴木選手は2019年、世界選手権の競歩男子50キロで金メダルを獲得した試合中に熱中症に襲われ、体調不良などの後遺症で東京五輪を辞退した経緯がある。 英ポーツマス大などが6月に発表した報告書によると、パリで前回五輪が開催された1924年からの100年間で、夏季五輪期間の平均気温が3・1度上昇。真夏日や熱帯夜も増加した。 報告書では、屋外競技の選手たちが酷暑下の競技中に命の危険を感じた経験が紹介されている。鈴木選手は「世界での勝利は人生で最高の瞬間だったが、その記憶は今となっては拷問でしかない」と述懐している。 報告書は、スポーツイベントの主催者に対し、猛暑を避けたスケジュール設定や選手や観客、スタッフを暑熱から守る対策への投資などを提言している。