『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』歌って踊るティモシー・シャラメは必見!
ティム・バートン監督とジョニー・デップがタッグを組み、ロアルド・ダールの児童小説を映画化した『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)。独創的な物語とポップかつ不思議な世界観が好評を博し、日本でも興行収入50億を超える大ヒットを記録した。そんな『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚に当たるのが、本作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』だ。若きウィリー・ウォンカはいかにしてあの“チョコレート工場”を作ったのか。彼の“夢のはじまり”が描かれる。 【写真】若き日のウィリー・ウォンカに扮したティモシー・シャラメ スタッフやキャストは『チャーリーとチョコレート工場』から一新。前作で監督を務めたティム・バートンに代わり、本作では『パディントン』シリーズのポール・キングがメガホンを取っている。さらに『ハリー・ポッター』シリーズのデヴィッド・ヘイマンがプロデューサーを担当。『チャーリーとチョコレート工場』は子供向けの映画としてはなかなかトリッキーな作品でもあったが、キングとヘイマンの参加によって『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』はよりわかりやすい映画になっており、幅広い世代に受け入れられることになりそうだ。 ジョニー・デップに代わり若き日のウィリー・ウォンカに扮するのは、新時代の映画スター、ティモシー・シャラメ。本作の魅力はなんと言っても彼抜きには語れない。何をやっても絵になるシャラメが、彼のフィルモグラフィー史上最もチャーミングな演技を見せており、新たな魅力を開花させている。歌って踊るティモシー・シャラメは必見だ。 そしてポール・キング監督とは『パディントン』でもタッグを組んでいるヒュー・グラントのウンパルンパが、頭から離れないほどのインパクトを放つ。『チャーリーとチョコレート工場』でウンパルンパを演じたディープ・ロイの印象が強かっただけに、不安な部分も大きかったが、蓋を開けてみれば大正解のキャステイングだったように思う。 そんな2人を熟練の演技で超えてくるのが、ミセス・スクラビット役のオリヴィア・コールマン。意地悪でがめつい、お金が大好きな宿屋の主人という役どころなのだが、まあとにかく“嫌なやつ感”がすごい。心に闇を抱える映画館スタッフを演じた『エンパイア・オブ・ライト』の主人公とは同一人物とは思えないほどの変貌ぶりは、さすがオスカー女優と言ったところ。彼女が迎えるラストにもぜひ注目してほしいが、映画本編のラストシーンはとにかく圧巻。誰しもが心を動かされるような描写は、ぜひ映画館で確認していただきたい。 ちなみに本作の全米公開日は12月15日。日本公開日は1週間早く設定されており、日本で大ヒットが期待されていることがうかがえる。翌週にはディズニー100周年記念作品『ウィッシュ』の公開も控えているだけに、興行がどれだけ伸びるかも気になるところ。クリスマスにぴったりな作品でもあるので、ぜひ映画館へ!
宮川翔