ヤクルト連覇は黄信号、勝率と得失点でみるオープン戦
いよいよ開幕するプロ野球、21日まで行われたオープン戦は阪神が7勝3敗5分という成績で首位となり、金本新監督にとっては幸先のよいスタートとなった。さてこのオープン戦の成績についてはいろいろな見方が語られてきた。ペナントレースにが全く関係ないといった無関係説から、最下位だけは良くない、最下位と3位は避けたいといったジンクスめいたものまで様々だ。 オープン戦の成績がシーズンに影響するようなことは本当にあるのか?今回はこれまでよく語られてきた「順位」ではなく「勝率」と「得失点」に焦点をあてて検証してみたい。
なぜ「勝率」と「得失点」に着目するのか?それは「順位」がほかのチームの動向の影響を受ける相対的な結果であるのに対して「勝率」と「得失点」は自チームの実力によって生まれた結果である。12チームの中で何位だったという視点ではなく、どれだけ勝てたか、どれだけ点を取ったか、どれだけ点を失わなかったかという視点から結果を検証した。
まずはオープン戦の勝率と公式戦の勝率を比較したものをご覧いただきたい。表1は2005年以降のシーズンでオープン戦の勝率と公式戦の勝率の相関関係を求めたものである。全体的にはかなりばらつきがあり、全体的にはオープン戦の勝率は公式戦にあまり影響しないといえそうだ。 オープン戦の勝率が5割以上だったのは全132チーム中72チーム、そのうち30チームがシーズンでも5割以上の勝率だった。これは率にすると約58%でこれだけでは有意な結果とは判断しづらい。オープン戦で5割を超える勝率を残してもそれだけでシーズンの好成績が約束されるほどではないようだ。 それでは勝率5割を基準にするのではなく、極端な成績を残したチームだけの結果をみるとどうだろうか?表中に示したオレンジの線はオープン戦の勝率が6割6分7厘の境界、緑の線は3割3分3厘の境界を示している。つまり2勝1敗以上のペースで勝ったチームはオレンジ線の右側、1勝2敗以下のペースで負けたチームは緑線の左側にプロットされている。この極端に勝った/負けたチームの成績に着目すると、全体的な様相よりもよりはっきりとした明暗が表れてくる。