「ラップ」で地域の魅力発信 斬新な自治体PRの背景に「地方創生人材」
キャリア官僚を自治体幹部として派遣
湯沢市の藤井副市長も、長島町の井上副町長も共に「地方創生人材支援制度」を活用し、総務省から派遣された、30代の若きキャリア官僚だ。人口5万人以下の自治体に地方創生に強い意欲を持つ人材を2年間、市町村長の補佐役として派遣し、「地方創生」の実務を担わせるために作られた制度だ。井上副町長は、就任当時、「史上最年少の副町長」として話題となった。 井上副町長は、就任後「ぶり奨学金」を創設するなど、新たな施策を次々発表。今回「挑発PRラップ」を制作した神明さんも、井上副町長が主導するドワンゴ社と連携したIT教育施設を作る事業を担うため、「専門能力を持った人材を、役割を明確化して募集した」(井上副町長)人材のひとりだ。他にも、楽天本社でPRイベントを開催するなど、意欲的に活動する。今回の「挑発PRラップ」には、井上副町長も出演している。
「副市長を、仲間の一人のように感じる」
湯沢市の藤井副市長も、街の若者のリーダー的存在になっている。湯沢市で「副市長ラップ」を制作した地元若者グループのひとり、高橋大輔さん(31)は、「副市長を、仲間の一人のように感じる」と語る。「以前は、何か行動を起こそうとした時、どうして良いかわからなかったが、今は副市長に直接連絡し、行動できる。これはすごいことだ」。副市長の影響力は県外まで及び、「副市長ラップ」で湯沢市を知り、移住に興味があるという問い合わせも市役所にあったという。 10月2日の湯沢市のイベント「全国まるごとうどんエキスポ2016」では、両自治体による「ラップ対決」が実現する。ステージには、湯沢市の藤井副市長や長島町の井上副町長も出演する。「自治体ラップ対決」も、「地方創生」事業が生み出した一つの成果なのかもしれない。 (中野宏一/THE EAST TIMES)