令和ロマンが「M-1グランプリ」二連覇、優勝を決定づけた最終決戦の“番手”
最後まで読めない魅力的な大会に
9番手のエバース、10番手のトム・ブラウンもともに健闘したものの、惜しくも届かず、最終決戦にはバッテリィズ、令和ロマン、真空ジェシカが進出。点数で言えばバッテリィズは2位の令和ロマンに11点差をつけ、優勝に向けて明らかに追い風が吹いていた。最終決戦でも番手を自由に選べる立場にあったが、大トリの3番手を選んだことが結果としてその場の空気を変えてしまったように感じた。 バッテリィズ後の3組はいずれも最終決戦に残らなかったわけだから、全員が笑った「あのお馬鹿を早く見たい」という感情が会場に充満していたと想像するのは容易い。しかし、最終決戦でトップだったのは真空ジェシカ。彼らはよりカオスなネタを選択し、らしさを見せつけて、バッテリィズの“残り香”を一掃する。そして、2番手の令和ロマンは1本目と打って変わって「タイムスリップ」というファンタジーなネタを選択。空想感の強いネタが一気に2本続いたことにより、笑いやすい環境が令和ロマンにとって有利に働き、一気に連覇への道を駆け抜けたのではないだろうか。 もちろん、結果論に過ぎないし、優勝した令和ロマンのネタは2本とも後世に語り継いでいきたいほど完成度の高いものだった。しかしつい2年前、ファーストラウンド10組目に登場し3位で最終決戦に進み、最終決戦トップバッターで自分たちの空気のまま優勝トロフィーを手にしたウエストランドの姿はまだ鮮明に記憶に残っている。 「令和ロマン強し」の印象を鮮烈に残した今大会だが、何かひとつボタンをかけ違えていれば結果は違ったのではないか。そんなふうにも考察してしまいたくなるほど最後まで読めない、魅力的な大会となっていた。
まっつ