<上海だより>圧倒的なエネルギーで生活する上海の高齢者たち
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上海にいると高齢者たちのエネルギーにはいつも驚かされます。同じ高齢化社会を迎えている中国ですが、日本と比べると中国の高齢化はさほど問題ではなく、むしろ彼らがまだまだ主役として活躍できるのではないかとさえ思ってしまいます。
まず、彼らは早朝からアクティブです。朝食を外食ですます文化が日本よりも根付いている中国では、早朝から饅頭屋や台湾でもおなじみの豆花屋、ワンタン屋など多様な料理を提供するお店が開いています。ちなみに、週末に至っては午前8時より早い時間帯は、中心部で若者が外を歩いている姿を見ることはほぼありません。もちろん、古い時代に中心部の家を支給された人たちが今も住み続けている上に、中心部の地価が異様に高騰したために中心部の人口バランスが高齢者に偏りがある影響もあります。
また、早朝に公園や広場、運動場に行くと驚くほど多くの高齢者たちが運動をしています。公共施設として設置されている運動器具で会話を楽しみながらの運動や、馴染みのおば様たちが集い音楽に合わせてエクササイズをするサークル、早朝から一般に無料開放されている専用競技場のトラックでのジョギングやウォーキング、そしてもちろん太極拳など多種多様な選択肢の中から自分好みの運動をしている印象です。これが局地的な活動ならまだしも、上海市内の至る所で見かけることができるのが毎日驚かされるのです。
上海のエネルギー量を考えると、正直なところ今の若者からはこの街を支えている印象がありません。特に上海人の若い男性の多くはとてもおとなしく、爆買いで日本を訪れているような中国人や日本人の一般的なイメージにある中国人像とは異なり、とても小さい声で穏やかに中国語を話す人も多いです。もちろん、上海では他の地域とは異なり女性の気が相対的に強い傾向にあるため、その影響で男性陣がおとなしくなっている可能性もあります。
一方で、高齢者に至っては男女ともに声が大きく、活発かつ社交的で、いわゆる日本人が抱くイメージに近い中国人の雰囲気が残っています。ちょっと大阪のおばちゃんに近いところもあり、何かと声をかけてきたりもしますが、その多くはややお節介に近い親切心から生まれているものです。しかし、こうした人と人のつながりがあってこの街の活気は支えられているなと思うと、やはりこの街を語る上で上海の高齢者は切っても切れない存在なのです。