<私の恩人>岡田圭右 コンビ20年「ケンカもあった」
「ますだおかだ」結成20周年
今年結成20周年を迎えた漫才コンビ「ますだおかだ」の岡田圭右さん(44)。岡田さんといえば、とことんポップなキャラクターで“スベるツッコミ”という新ジャンルを開拓。そんな岡田さんが恩人に挙げたのは、相方・増田英彦さんでした。普段のトーンを封印し、ストレートに相方への思いを語ってくれました。 この歳になって、改めて言うのは恥ずかしくもあるんですけど、僕の人生は、自分の意志で物事を決めてこなかった人生だったんです。ウチの家は商売をしていて、小さい頃から母親に「アンタは大学に行って、カタい会社員になってほしい」と言われ続けてきました。 その言葉に押されるように、流されるように、関西外国語大学短期大学部に入学し、学校を卒業してから文具メーカーに就職しました。 増田に出会ったのは短大の時。学園祭で増田に誘われて漫才をすることになったのがきっかけで付き合いが始まり、そこからは「一緒にプロとして漫才をやろう」と言われるようになりました。今でも、僕の何にピンときて誘ってくれたのか分かりませんが、僕が会社勤めをしてからも誘ってくれて、コンビ結成まで3年ほど声をかけ続けてくれました。 正直、母親に言われて会社に入ってはみたものの、それが自分のやりたいことと、仕事がイコールだったかと言えばそうではない。さらに正直に言うと、当時はバブルの流れもあって、今よりはずっと仕事もあった。だから「お笑いがアカンかっても、また別の仕事をしたらエエわ」くらいの軽い気持ちもあったんです。 でも、気づけば20年。増田に誘われて、いつの間にか長い時間が経っていました。 コンビを組み立ての頃は携帯電話もなかったので、ネタ合わせの連絡とかも、互いの家の電話にかけるわけです。ウチに増田から電話がかかってくると、母親は露骨にイヤな顔をして、電話をつないでくれなかったりもしました。というのも、やっと息子を会社に就職させたのに、増田が漫才の道に引っ張り込んだんですから、正直、面白くないですわね。 ただ、それが1994年に「ABCお笑い新人グランプリ最優秀新人賞」を受賞したりして、少しずつ世の中に認められるようになってくると、母親も「会社を辞めた時はどうなるかと思ったけど、増田君が誘ってくれたおかげや」と感謝をするようになってきました。僕は自分で何をしたわけでもないんですけど(笑)、誘われるがままについていってるうちに、親孝行もさせてもらえるようになりました。