デビアスのオーナーに屈辱的提案-アングロ、BHPが優良資産物色も
(ブルームバーグ): 107年の歴史を持つ老舗の資源・鉱業会社アングロ・アメリカンは、マーク・カティファニ前最高経営責任者(CEO)が2022年4月に退任した当時、それより良い経験が過去におよそないほど好調だった。
新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)を世界が脱し、金属価格が高騰したことで、過去最高の年間利益を直近に計上し、人気のある業界のベテランが信頼できる補佐役に会社を引き継いだ。アングロの株価はその日、過去最高値を更新した。
それから2年が経過し、一連の失敗で同社の評判は引き裂かれ、企業価値は半分になった。そして、世界最大級の鉱業会社BHPグループが買収に名乗りを上げた。
ダイヤモンド投資で名高いアーネスト・オッペンハイマー氏が設立し、世界のダイヤ市場で支配的な地位を築いてきたデビアスのオーナーでもあるアングロにとって、同社を分割し、優良資産を選別するというBHPの申し出は、屈辱的な瞬間となった。
BHPがアングロを約390億ドル(約6兆円)と評価するオファーの条件を引き上げる必要があるとアナリストは広く予想しているが、アングロの将来と今の形態で存続できるかどうかについて、本質的な問題を今回の動きは提起する。
生産する一部主要商品の価格下落を受け、アングロは23年の利益が急減し、配当も引き下げた。歴史の古い銅山から産出する低純度鉱石の問題などに直面し、24年の銅生産目標も大幅に下方修正せざるを得なくなった。
アングロによると、買収が実現する前に同社が南アフリカの白金および鉄鉱石部門をまず分離することをBHPは望んでいるという。
25日のロンドン株式市場でアングロの株価は約16%上昇し、時価総額はBHPのオファーで示された企業価値にほぼ等しくなった。26日のシドニー株式市場で、BHPの株価は一時4.7%下げ、昨年9月以来の大幅安となった。
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