大阪桐蔭が快勝発進 西谷監督、高嶋氏に並ぶ甲子園最多68勝「子どもたちのおかげ」
「選抜高校野球・1回戦、大阪桐蔭7-1北海」(22日、甲子園球場) 1回戦3試合が行われ、大阪桐蔭(大阪)が7-1で北海(北海道)を下し、西谷浩一監督(54)が春夏合わせて68勝目に到達。智弁和歌山などで指揮を執った高嶋仁氏(77)が持つ甲子園の監督通算最多勝利記録に並んだ。 西谷監督が100年以上にわたる甲子園の歴史に名を刻んだ。高校野球ファンの記録にも記憶にも残り、後世に語り継がれるであろう称号。節目の勝利の瞬間は2度強く手をたたいた。特別な1勝であることは間違いないものの、指揮官はいつもどおりだった。 「僕はその時にいて一生懸命やっていますけど自分の勝利ではないので。歴代のOBと今日の子どもたちのおかげ。自分の勝利がどうこうは全くないですね」 二回までは好機をつくりながらも、あと一本が出ず。三回に岡江伸英内野手(3年)の2点適時打などで4点を先制した。四回の攻撃前にはナインと円陣を組み、指揮官自らが言葉をかけて手綱を締め直した。この回にさらに追加点を加えて試合の主導権をがっちり掌握。「初戦というのはやっぱり難しい」と頭をかきながらも68個目の聖地星を獲得し、監督通算最多勝利記録を持つ智弁和歌山などを率いた高嶋仁氏と肩を並べた。 将として大先輩の高嶋氏と公私ともに関係が深かった西谷監督。「勝利への執念はいくつになられてもすごかった」とその背中を追いかけてきた。入学直後の部員に球速150キロほどのボールをひたすら打たせ続けていた高嶋氏は西谷監督に「打てるまでやるんよ」と説いた。「やれるまでやるんだというのはよく子どもたちに言っています」と西谷監督。大阪桐蔭を常勝軍団と呼ばれるまでにした指導の根底に高嶋氏の教えがあった。 この日の勝利で春は32勝目となり、PL学園の監督を務めた中村順司氏(77)を抜いて歴代単独最多となった。2回戦・神村学園戦に勝てば春夏通算でも単独トップとなるが、指揮官の頭に記録の二文字はみじんもない。「とにかく勝ちたい。それだけです」。底知れぬ勝利への貪欲さが名将たる理由。西谷監督の歩みは止まらない。