名古屋に「うまい仏」登場 ── 全部で107体・材料は「うまい棒」
うまい棒に仏像を彫刻したアート作品「うまい仏(うまいぶつ)」が、名古屋市・名駅のミッドランドスクエアで本日から公開される。うまい仏は岐阜県生まれの現代美術作家・河地貢士氏の作品で、「スナック菓子に彫られた仏像の姿がユニーク」と話題に。初日にはオープニングセレモニーが行われ、河地氏が登場。作品の制作意図などを説明。うまい仏が展示される「うまい仏~円空が眠るまち・岐阜県関市 現代アート展~」は25日まで行われる。
河地氏「うまい棒を何とか形にしようとする作業に意味がある」
うまい仏はスナック菓子「うまい棒」を使い、円空仏の現代的解釈として生み出した作品。2008年に東京のアートフェアで107体のうまい仏を初出展し、駄菓子×仏という新感覚なアート性がネット上でも話題に。河地氏は「円空仏からは“日常と非日常”のハイブリットを感じる。それを作品で表現できないかと考え、うまい棒(日常)と仏(非日常)を組み合わせたうまい仏を制作した」と制作意図を話す。 今回の展示では、107体のうまい仏が集合した「百七体旨仏像」も公開される。2008年に公開されたものと同じ作品で、東京のアートフェアではこの作品を約30万円(台座付き)で販売していたという。河地さんは「煩悩の数にひとつ足りない107つのうまい棒を制作しました。会場では108体目を彫るパフォーマンスを行います」と説明する。 作品について河地氏は「スナック菓子に仏の顔を彫るという行為自体が作品。崩れやすいうまい棒を、何とか形にしようとする作業に意味がある」と話す。1体を彫るのに要する時間は最短で4~5分。制作には電動のヤスリを用いる。河地氏によると彫りやすい味は「チーズ味」で、チーズを利用して補修ができるからとのことだ。
会場から「えっ、うまい棒なの?」という声も
うまい仏のモチーフとなっている円空は生涯に12万本もの木彫り仏像を彫ったとされる行脚僧で、晩年は岐阜県関市にある弥勒寺の住職として過ごした。セレモニーには関市長の尾関健治氏も登壇。「うまい仏をきっかけに円空に興味を持ってもらい、関市の魅力が伝われば」と呼び掛けも。 会場では「あれ何?えっうまい棒なの!?」と驚く一般客の姿も。河地氏は「うまい仏は見た目にも面白い作品。見た人が想像を膨らませ、楽しんで下さい」と話していた。会期中は来場客が参加できる「うまい仏」制作体験ワークショップも実施。 河地氏はうまい仏の他、漫画雑誌を苗床に野菜を栽培する「まんが農業」などの作品を手掛けている。 (編集プロダクション エディマート)