「老後2000万問題」といわれていますが、それは孫への「養育費援助」も含まれているのでしょうか?それとも生活費のみの計算なのでしょうか?
少し前に話題になった「老後2000万問題」。2000万円不足するとされるなかに、どのような費用が含まれているのかについて疑問を抱く方は多いでしょう。たとえば、孫への教育費が含まれているかどうかによって、老後の資金計画が大きく変わります。 本記事では、老後2000万問題に含まれる費用について解説します。老後2000万問題に孫への教育費が含まれているのかを確認し、老後の資金計画を立てる際に役立ててください。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
老後2000万問題には孫への教育費は含まれていない
金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」は2019年、「2017年の総務省家計調査(家計収支編)」における高齢夫婦の世帯をモデルとして、老後2000万問題をまとめました。その結果、毎月の収支がおよそ5.5万円の赤字となり、老後30年間でおよそ2000万円の赤字が生じると指摘しています。 ただし、このモデルケースの支出は食費や住居費など一般的な項目で構成されており、孫への教育費は考慮されていません。 ■モデルケースの支出の割合 老後の2000万円不足問題は、総務省が発表した「家計調査報告 平成29年」において、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦無職世帯の家計収支をモデルケースとしています。 主な収入と支出の割合は、表1のとおりです。 【表1】
※総務省「家計調査報告 平成29年 28~29p」を参考に筆者が作成 上記のモデルケースでは、毎月5万4520円の赤字となります。老後期間を30年と考えた場合、1980万円(およそ2000万円)不足することになります。 その他の支出には、理美容、たばこ、小遣い、交際費などが含まれており、養育費は考慮されていません。
子どもの教育費の平均
文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によれば、幼稚園から高校卒業までにかかる学習費の総額は、表2のとおりです。 【表2】
※文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します」を基に筆者作成 公立の場合は幼稚園から高校までの費用は156万9462円、私立の場合は446万6655円となります。 「学習費総額」には、以下の三つの費用が含まれています。 ・学校教育費:入学金、授業料、通学関係費など ・学校給食費:給食費 ・学校外活動費:塾、家庭教師、地域活動など また、日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」によると、大学および短大にかかる費用は、表3のとおりです。 【表3】