【特別取材】最新技術が満載の「新紙幣」は“静岡産”その印刷工場内部は!?片や新札対応に追われる店も…
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
7月3日から新しい紙幣の発行がスタートしますが、実は、この新紙幣、静岡県内で作られているのです。今回はその工場に特別に入れていただき、新しい紙幣の秘密に迫ってきました。 いよいよ7月3日に発行がスタートする「新紙幣」。そこに描かれる“顔”も新しくなります。 1万円札には約500もの企業設立に関わった実業家・渋沢 栄一。5千円札には日本初の女子留学生で女性の高等教育に尽力した津田 梅子。千円札には破傷風の血清療法を確立したりペスト菌も発見した細菌学者の北里柴三郎と、それぞれ変更されデザインも一新。さらに最新技術による偽造防止対策もふんだんに取り入れられています。 早く本物を手にしたい!という人も多いと思いますが、そんな新紙幣、実は静岡で作られているのです! それがこちら!静岡市駿河区にある「国立印刷局 静岡工場」。2023年80周年を迎え、これまでにも歴代の紙幣を静岡から全国へ送り出してきました。しかし、作っているものが「お札」ということもあり、そのセキュリティは超厳重!普段は決して入ることができませんが、今回、特別に工場内部の取材が許可されました! (国立印刷局 静岡工場 宮本 義政 工場長) 「こんにちは」 案内してくれたのは宮本工場長。ところで、なぜ、今回20年ぶりとなる紙幣のデザイン変更が行われるのでしょうか。 (国立印刷局 静岡工場 宮本 義政 工場長) 「日々進化を続けるパソコンや複写機などのデジタル機器による、お札の偽造に対抗するため、現時点から偽造抵抗力を向上させるのが一番の目的」 そして、いよいよその新紙幣が作られている工場の内部へ入らせてもらいます。最初に現れたのは大きな機械。これは? (国立印刷局 静岡工場 宮本 義政 工場長) 「印刷の工程のご案内をします」 上に上がらせてもらうと…目にも止まらぬスピードで新しい1万円札が流れていきます。ここでは紙幣20枚分が1枚になった大きな紙の状態で印刷されます。この大きな機械を通過する間にお札の表と裏が印刷されていきます。 そうして、印刷されたばかりのお札がこれ。まずは職員がお札20枚分の大きな一枚を異常がないか目視で確認をしていきます。この印刷に使われるインキも独自に開発された特別なもので、そこには偽造防止技術が隠されているのです。 (国立印刷局 静岡工場 宮本 義政 工場長) 「お札は凹版印刷という特殊な印刷技法を用いていて、インキの盛り上がりによって、触るとザラザラしているのが特徴であり、偽造防止技術の一つになります」 ところで、お札といえば“透かし”が本物かどうかを確認する重要なポイントの一つですが、これをどのように入れているか知っていますか?実はこれ、印刷の工程で入れているのではなく、紙を作る時点で、紙の厚みを変化させることで表現されているんです。つまり、なにも印刷されていないこの紙の状態で、すでに“透かし”が入っているのです。そのため、カラーコピーなどを使っても複製することは不可能なのです。 続いての工程は、光り輝くホログラムの貼り付け。先ほど印刷された、まだ20枚分が1つとなった大きな状態のまま、この機械で貼り付けられます。このホログラムには世界初の技術が!!! (国立印刷局 静岡工場 宮本 義政 工場長) 「今回の新しい偽造防止技術は3Dホログラムを採用していて、肖像が見る角度によって左右に動く技術です。この技術が銀行券に採用するのは世界初です」 最後は「裁断」の行程。ここまで20枚分が1つになっていましたが、私たちが使うお札サイズにカットしていきます。1度にカットするのはなんと500枚! (国立印刷局 静岡工場 宮本 義政 工場長) 「お札に使われている紙は、温度や湿度によって微妙に伸び縮みする。微妙な伸び縮みを調整しながら正確にカットするため、高度な技術が求められます」 その後、その後、検査を行う工程で1枚1枚細かく検品されたのち、日本銀行へ納入するため梱包されていきます。この大きな塊、いくら分あると思いますか?これで、1万円札が1000枚の束が400個!なんと40億円あるんです!ちなみに、お札の印刷工場は静岡を含めて全国に4か所あり、年間30億枚も印刷しているそうです。目前に迫った新紙幣の発行に工場長は…。 (国立印刷局 静岡工場 宮本 義政 工場長) 「国立印刷局では現在、総力を挙げて準備を進めておりますので、国民の皆さまには、ぜひ新しいお札に親しみと愛着を持って使っていただければと思います」 新紙幣の導入に対し期待の声がある一方で、対応に追われる人たちもいます。これは天ぷらが人気の定食屋さん。 (常連客) 「提供が早いので来ています」「休憩時間に来やすいので、早い方がうれしいです」 料理の提供が早い裏には、ある機械の存在があります。それは…。 (博多天ぷら専門店 おひるごはん 中野 渉 店主) 「こちらの券売機を使って営業しています」 (博多天ぷら専門店 おひるごはん 中野 渉 店主) 「券売機があることによって」「お客さんに早く商品を提供できる」「券売機で購入すると何を注文したかが映像に移るため、すぐに揚げ始められる」 券売機は、この店には必要不可欠な存在ということで、2023年10月に新紙幣対応型に交換しました。 (博多天ぷら専門店 おひるごはん 中野 渉 店主) 「約10万円ぐらいかかっています」「新紙幣に対応しなければいけないとは思っている」「しょうがない仕方がないと思っている」 他にも、最近スーパーなどで見かけるようになった「自動釣銭機」。これも新紙幣導入にともない更新や交換が必要となります。 (スーパーマーケット田子重 情報システム部 前田 祐規さん) 「6月から全店舗で更新をはじめていて、25台の釣銭機の交換と172台システムアップデートを行っている」「全国的にレジメーカーが新紙幣対応をしなければいけないため、この日でないと交換できないというのがあった」「費用に関しては決して軽くない」「政府からの補助が少しでもあればと思う」 営業時間中には作業ができないため、お店が閉店した深夜に交換作業が行われます。この店舗では、今回の新紙幣導入に伴い14台の自動釣銭機を交換。オープン作業が始まる前の午前4時までに作業を終わらせるため急ピッチで行います。 自動釣銭機を扱う会社によると、新紙幣対応の釣銭機は、現在、品薄状態で生産が追いつかず、交換の予約は7月中までいっぱいだということです。