クレームが殺到した名作ドラマは? ドラマ史に残る問題作(3)朝ドラをぶっ壊す!…厳しい意見が相次いだ異色作
クレームは、厄介者扱いされるのが常である。しかし「クレーム」が「要求(claim)」を語源としていることを考えると、世相を反映する世間の声とみなすこともできる。今回は、放送当時、視聴者からクレームが殺到したものの、再評価の機運が高まっている作品を5本紹介する。第三回。(文・編集部)
『純と愛』(2012、NHK総合)
演出:梛川善郎 脚本:遊川和彦 出演:夏菜、風間俊介、森下愛子、速水もこみち、高橋メアリージュン、渡部秀、吉田羊、城田優、黒木華、田中要次、映美くらら、朝倉あき、岡本玲、堀内正美、佐藤二朗、若村麻由美、余貴美子、武田鉄矢、舘ひろし 【作品内容】 狩野純(夏菜)にはとある夢があった。それは、父が住む宮古島のホテルを次いで、みんなが笑顔になる魔法の国にするというものだった。しかし、その後、父の善行と喧嘩してしまい、この夢は挫折。大ホテルの社長になってやると捨て台詞を吐き、大阪に飛び出すが…。 【注目ポイント】 1961年の放送開始以来、時代を超えて「朝のお茶の間」に浸透してきたNHKの「朝の連続テレビ小説(通称:朝ドラ)」。毎朝、食卓で本ドラマを楽しんでから出社するのが習慣になっているという方も多いことだろう。 しかし、この朝ドラには、他のドラマにはない条件が求められる。それは、「朝にふさわしいかどうか」だ。多くの日本国民が、朝ドラをきっかけに1日のスタートを切るだけに、内容はできるだけ爽やかで、元気が出るものでなくてはならない。だから、エログロはもちろん、視聴者を当惑させるような展開もできれば避けなければならない。 しかし、そんな朝ドラの「不文律」に反旗を翻した人物がいる。『女王の教室』(2005、日本テレビ系)や、『家政婦のミタ』(2011、日本テレビ系)で注目を集めた人気脚本家、遊川和彦だ。 人の心を読める超能力者を登場させたり、主人公の純をあえてエキセントリックな性格にしたりと、朝ドラの既成概念を片っ端からぶち壊していった。 しかし、案の定、こういった斬新な試みは、やはりお茶の間には受け入れられず、放送開始当初から「ドタバタと忙しい」「朝にふさわしくない」などの意見が殺到。最終的に、過去3作の朝ドラの2倍近くにのぼる6,465件の厳しい意見が寄せられたという。 旧来の朝ドラの雰囲気を愛する一部の視聴者からは厳しい評価を下された『純と愛』だが、朝ドラを変革したいという作り手の心意気に打たれた視聴者も多いはず。再評価が待たれる作品だ。 (文・編集部)
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