ダッシュ練習に励む吉﨑さん。「練習は週に3回で、体を壊さないよう量より質を意識している」＝17日、平川市陸上競技場

　9月に行われた全日本マスターズ陸上競技選手権大会（京都府）の100メートル40～44歳の部で、青森県弘前市の不動産業・吉﨑裕祈さん（42）が大会新記録の10秒92で初めて優勝した。3年後、45歳以上の日本人が成し遂げていない10秒台の日本記録を出すことを目指し練習を重ねている。 　大会は、全国から出場した約60人が7組に分かれ一度だけ走り、出たタイムで順位が決まる。4組目で出走した吉﨑さんは足の回転の速さを生かしてどんどん加速し独走のままゴール。この日の出走組で追い風が一番弱かったにもかかわらず、出場者で唯一10秒台をたたき出し、大会記録を更新した。 　弘前実業高校時代、100メートルでインターハイや国民体育大会に出場したが表彰台は遠かった。昨年、小学生の娘が陸上競技を始めた時に「足の遅いお父さんでいたくない」と短距離の練習を再開。高校で10秒68のタイムを出した時の感覚を思い出しながら年齢に合わせた練習計画を立て、仕事の合間や休日に一人走り込んだ。4月の北日本選手権（弘前市）で11秒03、8月の同市夏季大会では追い風参考ながら10秒87をマークし自信を深めた。 　吉﨑さんは100メートル走の魅力を「努力が明確にタイムに表れること」と話す。今後は現在のクラスの日本記録10秒78を目指しつつ、リレー競技で世界マスターズの日本代表として大会に出て、各国の鉄人たちとしのぎを削りたいと思っている。「体の老いとの闘いになるが、やり続ける価値はある。一般人でも日本一になれることを示したい」と目を輝かせた。