冷静に自分たちの良さ出した後半に4発。帝京が積極スタイルの栃木U-18を突き放して2連勝
[6.29 プリンスリーグ関東1部第8節 帝京高 5-1 栃木U-18 帝京科学大学千住総合G] 帝京が後半4発で快勝! 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2024 関東1部は29日に第8節1日目を行った。帝京科学大学千住総合グラウンド(東京)で開催された5位の帝京高(東京)対8位・栃木SC U-18(栃木)戦は、5-1で帝京が勝利。2連勝とした。 【動画】女優が日本代表戦に来場→“一般人”として地元TVのインタビュー受ける ホームの帝京は前半6分に先制点。CB畑中叶空(3年)の跳ね返しから左中間のMF堀江真広(3年)が相手CBの足先を抜けるようなスルーパスを通す。これでエースFW森田晃(3年)がGKと1対1となり、右足シュートを叩き込んだ。 怪我のためにインターハイ東京都予選準決勝(代表決定戦、6月15日)まで欠場していた森田は、その後の決勝、プリンスリーグ関東1部の浦和ユース戦を含めて3戦連発。「(インターハイ出場は)みんなのお陰です。チームメートに感謝しています。今日もチームメートのお陰で決めることができた」と感謝していた。 その帝京は、9分にも右サイドのMF砂押大翔主将(3年)がDFの股間を狙ったスルーパス。抜け出したFW宮本周征(2年)の右足シュートがニアポストを叩く。ボランチを活用しながらのビルドアップに加え、最終ラインからのロングフィードも織り交ぜた攻撃。相手を見ながらボールを動かし、作り出したスペースを突く形で追加点を目指した。 対する栃木U-18は、大型ボランチMF山崎柊(3年)の奪い返しなどから反撃。サイドからDF背後への斜めのパスに、MF石関琉主将(3年)らが呼応して走り込む。22分には、左サイドで山崎がインターセプトし、左SB佐藤漣(3年)が左足シュート。こぼれ球に身体を投げ出した佐藤がPKを獲得する。 チームリーダーの石関が放った右足PKは、帝京GK大橋藍(3年)が読み切ってストップする。だが、栃木U-18は落ちない。帝京にボールを保持される時間が増えていたものの、集中した守りで相手が攻め切る前に奪い返し、37分のピンチはGK熊谷匡祐(3年)が足でストップ。また、右SB中丸功大(3年)がDFラインからの持ち上がりにチャレンジしていたほか、右SH石関、左SH中村脩人(3年)の両翼のキープ力も活かしながら押し返して見せる。 そして38分、中村が左サイドを突破し、左CKを獲得。石関のショートコーナーを受けた中村が、わずかに中へ運んでから右足を振り抜く。これがファー上に突き刺さり、1-1。帝京の選手たちも賞賛したスーパーゴールで同点とした。 栃木U-18はプリンスリーグ関東1部初挑戦で現在2勝。只木章広監督は「地元の子ばっかりなんでまだまだなんですけれども。でも、逆に言うと、伸びしろがあると思う。どんどん良くなって、吸収して、こういうカテゴリーで貴重な経験ができるので、どんどん上乗せしてくればいいかなと思います」という。その栃木U-18は後半、果敢により高い位置からプレッシング。相手CBに圧力をかけ、逆転を目指した。 5分には、左スローインから中村が右足ミドルを枠へ飛ばす。だが、帝京はGK大橋の落ち着いたシュートセーブやハイラインのコンパクトな守りで得点を許さない。逆に右サイドのMF永田煌(3年)が2度3度と相手DFを剥がして前進。前半に比べて冷静に攻める帝京は、チャンスを作り続けてスコアを動かした。 帝京は14分、MF安藤光大(3年)とMF杉岡侑樹(2年)を同時投入。そして19分、砂押の左足でのサイドチェンジが左サイドの宮本へ通る。そして、ゴールライン際までスプリントした左SBラビーニ未蘭(3年)がクロス。ゴールを背にした森田がこれを落とすと、最後は杉岡が右足でゴールを破った。 司令塔の砂押からラビーニや森田の特長を活かした鮮やかな崩しで再び勝ち越し。これでさらに落ち着いた帝京は、相手のプレッシングを個で攻略する畑中や攻撃的な右SB小林爽人(2年)の持ち上がりから、砂押や回収力も光るMF近江智哉(3年)を経由して距離感良くボールを動かす。37分には小林のパスで杉岡が抜け出してクロスを上げると、ファーサイドの宮本が右足で決めて3-1とした。 栃木U-18はいずれも交代出場のFW波多野壮介(1年)やFW市川遥章(1年)が繰り返し相手DFラインの背後を狙うなど、諦めずに前へ出る。だが、帝京は43分、注目の大型CB田所莉旺(3年)の絶妙な縦パスから森田がこの日2点目のゴール。さらに45+5分、森田からのパスを受けた交代出場MF大舘琉史朗(3年)が右足シュートを叩き込み、4点差に広げて試合を終えた。 帝京の砂押は「ハーフタイムに(監督の)藤倉先生からマインドが味方だったり、審判だったりに向いてしまっているっていうのを言われて、そういう時間帯って自分たち上手くいっていない時間帯なので。『このまま終わっていいのか』と言われて、本当に後半、もう一回マインド変えて、自分たちに矢印向けてやった結果がこうなったのかなって思います。後半は全員の位置を把握して、ほんと意図をみんなで合わせてできたのかなと思います」と後半に好転した理由について説明する。 今年の帝京は選手同士で良く意見を言い合えるチーム。この日もピッチ内で良く声が出ていたが、前半は熱くなりすぎた部分があった。だが、後半は「自分たちの良さを出せと。全員が冷静にやれたと思います」と森田はいう。チームでより繋がって戦った後半に栃木U-18を突き放した。 この日、インターハイの組み合わせが発表され、初戦の対戦相手は難敵・神戸弘陵高(兵庫)に決まった。今年の帝京は2年前の全国準優勝超え、日本一への強い思いを口にする森田をはじめ、前線の陣容が強力。個々の技術力が高くボールを保持しながら主導権を握る力があり、失点が増えるなど課題だった守りも徐々に安定してきている。藤倉寛監督の下、毎試合メンバーを入れ替えながら競争。近年、日比威前監督(現総合アドバイザー、順天堂大監督)の下で再び台頭してきた名門は今年も力を積み上げてきている。 砂押は「インターハイ優勝してまず(現在9つのユニフォームの)星を増やすこと」「次の世代のためにもプレミアに上げること」「(選手権含めて)日本一2回なるチャンスあるんで、両方取りたい」を掲げた。まずはこれまで同様、トレーニング、目の前の一戦からこだわり続けるだけ。そして、どんな試合でも冷静に自分たちの力を発揮して白星を重ねる。