外信コラム 韓国で台湾式ミルクティーを 〝喫茶店王国〟での挑戦
友人である韓国人と台湾人の30代夫妻が韓国南部の済州(チェジュ)島で台湾式ミルクティーやフルーツティーの専門店をオープンさせたと聞いて店を訪ねてみた。 韓国ではコーヒー専門店が10万軒を超える。6年間で倍増し、コンビニエンスストアの倍近くに上るという「喫茶店王国」だ。競合店が多いのではと、少し心配もあった。 一方で、中国から伝わった茶を飲む風習は朝鮮王朝時代に廃れ、韓国では麦茶やゆず茶など茶葉を使わない飲料を「茶」と称するのが一般化した。茶をたしなむ習慣のなかった韓国人に茶の本当のおいしさを知ってもらいたいと、夫妻は厳選した茶葉を台湾から仕入れ、店構えも台湾風にしたり、茶葉以外の材料の大半を手作りしたりするなど、細部にまでこだわった。 韓国人男性の林さんと台湾人女性の胡さんの姓から取った店名は「胡林堂(ホイムダン)」。夫妻は留学先の日本で出会い、台湾でよく飲まれるウーロン茶の味を林さんは日本で知った。店内には日本の曲が流れ、日本や台湾の本が棚に並ぶなど、日韓台の文化の融合も楽しめる。 中高年の男女のグループが入店したが、メニューにコーヒーがないと聞くとすぐに出てしまった。韓国で「喫茶店=コーヒー」の偏見に一石を投じようとする夫妻の挑戦は始まったばかりだ。(桜井紀雄)