齊藤工企画・プロデュースの映画「大きな家」予告編、児童養護施設に暮らす子供たちを映し出す
齊藤工が企画・プロデュースを手がけたドキュメンタリー映画「大きな家」の全国公開日が12月20日に決定。それに先駆けて12月6日より東京・WHITE CINE QUINTO(ホワイト シネクイント)、大阪・TOHOシネマズ 梅田、愛知・センチュリーシネマで先行上映が行われる。YouTubeでは予告編が解禁された。 【動画】プライバシー保護のため顔・名前は伏せて構成、「大きな家」予告編はこちら 同作は「14歳の栞」「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」の監督・竹林亮が、児童養護施設に暮らす子供たちが家族ではないつながりの中で生活しながら、自分の運命と向き合い、葛藤し、未来に目を向けて成長していく姿を切り取ったもの。出演者のプライバシー保護のため配信・レンタルは予定されておらず、劇場上映のみ行われる。 予告編には、子供たちの言葉とともに、マンガ家の松本大洋、テレビプロデューサーの上出遼平らから届いたコメントも収められた。あわせて、オーストラリア出身で東京を拠点に活動するイラストレーター、エイドリアン・ホーガンが描き下ろしたビジュアルも到着した。 竹林は「彼らがもし、将来生きることに苦労するようなことがあった時に、またこの作品を観て、生きる力を呼び覚ますような存在になってほしい。そう願いながら、共に過ごした時間を記録し、編集をして一本の映画にしました」、齊藤は「本作は“被写体ファースト”で非商業的な特殊な上映を目指しているのもあり、作品に共鳴して下さった方々のサポートを必要としています。どうぞお力をお貸し下さい」と呼びかける。同作の公式サイトでは、支援を募るページが公開中だ。 主題歌にはハンバート ハンバートの楽曲「トンネル」が採用され、映画に合わせてアレンジが加えられた。メンバーの佐野遊穂は「見終わった時には、説明できない気持ちで胸がいっぱいになる。なんだか分からないけど涙があふれてくる。説明できないところが、この映画の誠実さなのだと思いました」と映画に言及し、佐藤良成は「映像を観る前に作った曲なのに歌詞やメロディが彼らの姿と重なり、これしかないと思いました。そんなわけで曲が決まり、竹林監督からの要望をアレンジに取り入れ、映画の最後の1ピースとなるべく完成しました」とつづった。同楽曲は2024年冬にリリースを予定している。 なお、同作の製作はCHOCOLATE Inc.、配給はPARCOが担当する。 ■ 竹林亮 コメント この映画は、ある子どもたちのごく普通の日常を記録した物語です。彼らは、様々な理由で自身の親から離れて児童養護施設と呼ばれる場所で日常を送っています。僕たちは、この映画を、出演してくれた皆のこれからの人生のお守りになるようにと願いながら作りました。彼らがもし、将来生きることに苦労するようなことがあった時に、またこの作品を観て、生きる力を呼び覚ますような存在になってほしい。そう願いながら、共に過ごした時間を記録し、編集をして一本の映画にしました。この映画を観てくださる方々には、これまで知らなかったすぐそこにある日常の中の「普通」の感覚の差分の中に、全ての人々にとって大切なものが隠れているのを目撃していただきたいです。同じ地域に暮らしているが、知っているようで、知らなかった葛藤を映画の主人公である子どもたちや職員の方々と共に感じ取り、感情を共有することで、より深く関心を持つための入り口として果たせる役割があるのではと考えています。 ■ 齊藤工 コメント 試写が始まり、多くの反響を頂き、偶然から始まった本作が形になる事は必然になりつつあると実感しています。同時に皆様に制作の動機を聞かれる事も多く、この場を借りて改めて簡潔にお伝えさせて頂くと、約4年前に1日限りのイベントのスタッフとして訪れたとある児童養護施設の子が、帰り際に何とも言えない表情で私達大人を見ていました。「貴方もまた、もう二度と来ない大人なんだね」とでも言わんばかりのその目が忘れられず、時折、個人的に施設にお邪魔していました。“質より量”と言う表現は相応しく無いですが、「大きな家」を観てもらえたらわかると思いますが、彼ら彼女らと接するには、“会う回数”がモノを言う気がしました。元々は知らないおじさんである私に、徐々に色々な話をしてくれる子どもたちのこれまでの物語や、施設での日々を、多くの人に知ってもらいたいと願った矢先に竹林監督の「14歳の栞」という、劇場のみでの上映で被写体のプライバシーを守るという誠実な映画に出逢い、本作の企画が始まりました。 ハンバートハンバートさんが「トンネル」という素晴らしい楽曲で、子どもたちや職員方、そして我々製作陣までも包み込み、光の方へ導いて下さり「大きな家」は完成致しました。本作は“被写体ファースト”で非商業的な特殊な上映を目指しているのもあり、作品に共鳴して下さった方々のサポートを必要としています。 どうぞお力をお貸し下さい。 ■ ハンバート ハンバート コメント □ 佐野遊穂 大きな家に暮らす子どもたちや職員の皆さんの表情が、言葉が、余計な意味づけされずにそのまま手渡される。見終わった時には、説明できない気持ちで胸がいっぱいになる。なんだか分からないけど涙があふれてくる。説明できないところが、この映画の誠実さなのだと思いました。登場する人たちのこんな空気を捉えられるまでには、映画チームのどんなにか丁寧なコミュニケーションがあったのだろうと思います。 □ 佐藤良成 依頼をいただき映像を観せてもらい、子どもたちを追うカメラの自然で淡々とした姿勢に感銘を受け快諾しました。どんな曲をと考えていたときに、あの曲がぴったりじゃない?とうちのスタッフから提案されたのが「トンネル」です。映像を観る前に作った曲なのに歌詞やメロディが彼らの姿と重なり、これしかないと思いました。そんなわけで曲が決まり、竹林監督からの要望をアレンジに取り入れ、映画の最後の1ピースとなるべく完成しました。 (c)CHOCOLATE