「揺れ」「津波」「液状化」だけじゃない…「巨大地震」発生時に「大阪」で頻発する「意外な被害」
ため池の決壊による被害
大阪府は、長周期地震動や液状化も起きやすい一方で、府内には昔から治水事業の結果として、多数のため池が点在する。過去、大地震が発生すると、ため池が決壊する事例も多い。 【画像】「南海トラフ巨大地震」で日本が衝撃的な有り様に…そのヤバすぎる被害規模 東日本大震災の時、福島県内にあった約4000ヵ所の溜池のうち、320ヵ所が損壊している。例えば、福島県須賀川市にある農業用ダムでもある「藤沼湖(藤沼ダム)」は、農林水産省の「ため池百選」にも選ばれ、周辺は自然公園となっていて、キャンプ場・バーベキュー場などもあった。その藤沼湖が11年の東日本大震災の揺れで堤防が決壊し、下流域が大洪水となって8人が犠牲になっている。地震の揺れが収まってほっとした思ったら、突然山からの大洪水に襲われたのである。怖かったと思う。農林水産省の調べでは、東日本大震災で東北・関東など6県の農業用ダム(ため池)86カ所で決壊などの被害が出ている。 自治体が発行しているため池ハザードマップの多くが大雨を想定し、ため池決壊・洪水の注意喚起をしているが、大地震・大揺れによる堤体損壊なども視野に入れた堤防の強化・管理体制、情報の提供が必要である。その対象となるため池を「防災重点ため池」と呼ぶ。 「防災重点ため池」の基準は、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設等が存在し、人的被害を与える恐れのあるため池のうち、以下のどれかを満たすため池をいう。「ため池から100m未満の想定浸水区域内に家屋、公共施設等があるもの、ため池から100m以上500m未満の浸水区域内に家屋、公共施設等があり、かつ貯水量1000以上のもの」。大阪府におけるため池総数は3902ヵ所、そのうち「防災重点ため池」は2486ヵ所に上る。これらのため池が南海トラフ巨大地震の震度6強~震度7の激しい揺れや、長周期地震動によって、決壊・洪水被害を出さないように、ため池の維持管理の強化、監視体制、住民への啓発活動が重要である。 さらに関連記事<「南海トラフ巨大地震」は必ず起きる…そのとき「日本中」を襲う「衝撃的な事態」>では、内閣府が出している情報をもとに、広範に及ぶ地震の影響を解説する。
現代ビジネス編集部