「町から書店が消える」10年で半分に…一方で地域をつなぐ新たな取り組みも 書店の試行錯誤は続く【鹿児島発】
「米永書店」の新たな取り組み
厳しい現状の中、薩摩半島の最南端にある人口約3.8万人の指宿市で、新たなスタートを切ったのは、「米永書店」だ。 かつては地元の学校の近くで営業していたが、区画整理で移転し2024年9月に再びオープンした。店内に入ると大きな書棚が並び、スタイリッシュで開放感あふれる空間が広がっていた。 そして、米永書店・米永貞嗣さんが案内してくれたのは、小さな本棚。「貸し棚なんです。雑貨屋さんがいればコーヒー屋さんがいたり、木工屋さん、写真屋さんがいたり」と話す米永さんの視線の先には、小さな本棚に並ぶ商品が、まるで小さなお店が集まっているかのように並べられていた。この小さな本棚は、月2000円を支払うと誰でも棚主になることができ、書店に商品を委託して販売することができる。 さらに米永さんは、棚主になると書店奥のワーキングスペースで月に1度イベントを開く権利を持てるという、地域の人を繋ぐ仕掛けを施した。 2024年9月から棚を借りている、グラフィックデザイナー・ことうのぞみさんが始めたのは、指宿をPRするフリーペーパー作りのワークショップ。 初対面の参加者たちがおしゃべりしながら、指宿の好きなところを書いていく。和気あいあいとした雰囲気の中で、フリーペーパーを作成していた。 地域の人と人をつなぐ新たな書店作りに挑む米永書店だが、当初はそんな計画はなかったそうだ。区画整理による移転が決まり、倉庫にする予定だった米永さんの気持ちを変えたのは、福岡・朝倉市のカフェ兼書店「cuwano.Books Cafe Space」との出会いだった。 米永貞嗣さんは「福岡の朝倉という、うち(指宿)と同じ位の人口のところでカフェ兼書店をしていて。そこでお話をいくつか聞かせてもらった時に、頑張っている人がいっぱいいるんだなと思って」、「まだまだ書店にできることがある」と書店の可能性にかけている。 米永書店・米永貞嗣さん: 自分の中で「これ読みたい」という本を買ってマッチングしたときに、大きな喜びがあるし深みがあると思う。きっかけだけでもつくるれる本屋さんになれたらと思う。 2023年度に全国で閉店した書店は614店。これは1日に1.5店舗以上がなくなる計算だ。きょうもどこかで、街の書店がなくなっているかもしれない。 「地域になくてはならない存在」という声に応えるために、書店の試行錯誤は続いている。 (鹿児島テレビ)
鹿児島テレビ