『寄生獣 -ザ・グレイ-』は原作からどう変化? “組織”を追求した韓国ならではの視点
最後の最後には泉新一役で菅田将暉が登場
最後に、原作漫画の主人公・泉新一には、右手にミギーという寄生生物が宿っている。新一とミギーが「人間と寄生生物の関係」について対話を繰り返しながら、襲ってくる寄生生物を倒すために共闘する姿が原作漫画の魅力だった。 対して、『寄生獣 -ザ・グレイ-』の主人公・スヨンはハイジという寄生生物を宿しているが、ハイジは1日に15分しかスヨンの意識を乗っ取ることができない。2人の関係は劇中でも語られているように小説『ジキルとハイド』のような、1つの肉体に2つの人格が備わっている二重人格に近い表裏一体の存在となっていた。 最大の魅力と言える新一とミギーの関係を、あえて劇中に持ち込まない『寄生獣 -ザ・グレイ-』の思い切りの良さに初めは驚かされたが、ドラマの最後に菅田将暉が演じる泉新一と名乗るルポライターが登場する場面には、二度驚かされた。 彼の右手がミギーかどうかは明かされなかったが、これから続編が作られるとすれば、新一とミギーがグレイチームと共に世界中の寄生生物と戦う姿が観られるかもしれない。原作ファンに対するサービスを越えた粋なラストである。
成馬零一