【川崎・鬼木監督の心を揺さぶった試合後の光景とは。サポーターとの”レアな関係”(1)】「うるっと来るような瞬間」と振り返ったやり取りと、説明した「試合前の心情」
雨粒が大きくなったタイミングだった。雨が光を遮るからか、あるいは、勝利することができなかったからか、暗く感じられたピッチの横。引き上げる選手ひとりひとりにハイタッチをしたのは鬼木達監督で、スコアレスドローという点数が生まれなかった試合とは思えぬ激戦を戦い抜いた選手を労った。そして一人、ロッカールームへと引き上げようと歩き始める。 ■【画像】川崎・鬼木監督の心を揺さぶった試合後の光景とは……頭を下げて応えた雨の中の観客席前■ 雨に打たれ続けた黒いベンチコートをまとう指揮官の視線は、左側に向けられた。そこには青いレインコートを着たサポーターが雨に濡れている。風によって観客席まで吹き込む雨をもろともせず、試合前から声援をピッチに送っていた。鬼木監督は、無言のまま頭を上げる。視線は一度上を向くと、さらにもう一度、頭を下げる。 「鬼木、ボンバイエ! 鬼木、ボンバイエ!」 2度の“おじぎ”がスイッチとなったかのように、大きな声が沸き上がった。頭を下げる指揮官に、頭を下げる必要はないというメッセージにも思えたし、一緒に闘い抜いたからこその発声にも思えた。鬼木監督はそれに対して両手を上げて応え、また、深々と頭を下げる――。
■「うるっと来るような瞬間なんです」
横浜F・マリノス戦後のこの光景は多くの川崎サポーターの心に残ったはずだ。そして、美しいものにも見えた。サポーターを見た指揮官がそれに行動を起こし、そこにサポーターが被せるように応える。このような相思相愛の関係は、そうあるわけではない。 翌日、麻生グラウンドで鬼木監督自身にその思いを聞くと、一気に表情を崩した。サポーターからのエールが心強かったことはすぐに分かった。そして、出てきた言葉もそのリズムも、こちらまで嬉しくなるようなものだった。以下は、その答えの冒頭の部分である。 「自分の名前も呼ばれて、それが胸に熱く響きましたし、チームが苦しいときとか、昨日のように1人減って本当に難しい展開になった中で、ああやって鼓舞してもらえるっていうのは、うるっと来るような瞬間なんですよね。 選手がそれに応えて、ホイッスルが鳴り終わった瞬間にみんなバーって倒れちゃうようなそれぐらいのものを出している中で、やっぱりああいう労いの声や声援っていうのは、また次のゲームに向けてパワーをもらえるので、そこは非常にありがたかったですし、なかなか勝てなかったりとかそういうときでも、常にチームを応援してくれたり、自分自身のコールをしていただいたりとか、それに“応えよう!”と思うのは当たり前だし、むしろ(横浜FMとの)試合が始まるときは“逆に何とか喜ばせたい”と思って戦っていたので」
■熱い姿勢のワケ
この試合で、鬼木監督はいつも以上に力が入っているように見えた。目力、選手へのアクション、声の張り上げ方――常に熱いその姿がいつも以上に熱く見えた。いつもそうした姿を見せていることは承知のうえで何か“違い”があったのか聞くと、その心情をやはり、熱く説明する。中でも力が入ったのは、「自分たちが何ができるか、何を示せるかは、意識して入っていた」の部分だった。 試合前にサポーターへは「喜ばせたい」という気持ちを持ち、中継も含めてこの試合を観る多くの人に自分たちらしさを見せようとした。明かした心情の一端は、火傷しそうなほどに熱かった。 (取材・文/中地拓也) (後編へ続く)
サッカー批評編集部
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