福岡県が「カスハラ」対策をスタート 長時間の拘束・暴言・過度な要求「バカ・アホと言われ精神的な負担に」
FBS福岡放送
客が悪質なクレームを行うカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」についてです。官民問わず深刻な問題となっていて、福岡県は1日から「カスハラ」対策に乗り出しました。 【画像はこちら】福岡県が1日から「カスハラ」対策 「バカ・アホと言われ精神的な負担に」
■永易友希記者 「福岡県庁ではきょうから、館内にこのようなポスターが貼られています。大きな文字で、“STOPカスタマーハラスメント”と書かれています。」 福岡県庁と出先機関に掲示されたのは、カスタマーハラスメントの注意喚起を呼びかけるポスターです。県は1日から、深刻化するカスハラへの対策に乗り出しました。 ■福岡県 人事課 担当職員 「カスタマーハラスメントは業務の遅滞を招いて、本来対応すべき業務や相談などに対応できなくなることから、行政サービスの向上のために必要な取り組みと考えて実施することとしました。」 カスハラは、客が職員や従業員に対して悪質な迷惑行為を行うことをいいます。全日本自治団体労働組合が2020年に行った調査によりますと、過去3年間に住民からカスハラを受けたことがある自治体職員は46%でした。 福岡県が行った実態調査でも、2020年から去年までの3年あまりで168件のカスハラが確認されています。最も多かったのが長時間の拘束、次いで暴言、過度な要求などとなっています。 ■福岡県 人事課 担当職員 「暴言であったり、なかなか相談者の意向に沿わない回答をしたときに、バカであったりアホであったり。その言葉を聞いて精神的な負担になっていたとか、そういった状況があると聞いています。」 県ではカスハラと判断した場合、組織的に対応します。課長補佐などが警告し、必要に応じて所属長が退去命令を行うとしています。 また、カスハラ対策の一環として1日から、名札の名前をフルネームではなく名字だけに変更しました。 この、名札のカスハラ対策に1年前から取り組んでいるのが佐賀市です。全ての職員の名札を名字だけにしています。きっかけは、窓口業務の職員から上がった不安の声でした。 ■佐賀市人事課 担当職員 「SNSでフルネームを検索されて、どこどこに行っていたよねと声かけされたり、直接ダイレクトメッセージをもらったということがあったと聞いています。」 1年間続けた結果、職員からは安心して仕事ができるという評価の声が上がっているといいます。SNSで名前を検索されるなどの事例も聞かなくなり、一定の効果が得られているということです。 ■佐賀市 人事課 担当職員 「フルネームじゃなくても、所属と名字だけでも十分、仕事をするにあたっては責任を持って対応できる。デメリットというのは特にないと感じています。職員のプライバシーの保護と市民への責任を、しっかりバランスをとりながら今後も対応していきたい。」 利用者の信頼を保ちながら職員の安全を守るため、対策が広がっています。