Snow Man 阿部亮平、演技力の真髄は声質にあり 的確な表現力でドラマに“抜け感”生み出す
三田桜(小芝風花)と月本真(大島優子)の過去にも触れながら、さまざまな身元不明人を調べで帰りを待つ人の元へ導いてきた『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系/以下、『GO HOME』)。第8話は、捜査一課の手嶋淳之介(阿部亮平/Snow Man)の葛藤を軸に、これまでとは一味違ったストーリーになりそうだ。 【写真】場面カット 手嶋は、身元不明人相談室のメンバーと共に事件を捜査する捜査一課のエース刑事。冷静な口調で事件の概要を説明し、取り調べ中には容疑者に対してカマをかけて供述を引き出したり、時に寄り添ったりと、刑事という立場から事件を前に進めていく活躍を見せている。婚約者の行方が分からなくなってしまった真を優しく支えながら純粋な恋心を向けるなど、まさしくスマートなエリート刑事という言葉が似合う男性だ。 そんな手嶋だが、第4話で真の婚約者の問題が解決したのを境に、かわいらしさが見えるシーンが増え、ギャップが際立ちはじめた。第6話では、真を食事に誘えなくとも、力になれてよかったと柔らかな笑顔を浮かべ、第7話ではマコトという名前の犬を撫でながら「(真と同じ名前だから)やっぱり美人だね、君は」と甘い声で語りかけていた。身元不明人相談室のメンバーから恋路を応援されつつも、真に気づいてもらえないアプローチの不発具合がなんとも微笑ましい。 特に第7話でのやりとりは、犬に語りかけるときの声から真への愛情が感じられ、身元不明人相談室の武藤晴夫(半海一晃)から「その子、男の子ですよ」「嘘ですよ」とイジられたときの反応も含めて、あざとかわいいとしか言えないシーンだった。手嶋は、話数が進むにつれて身元不明人相談室のメンバーの緩さのある会話を引き締める役割を担いながら、シリアスさのあるストーリーのなかに“抜け感”を作る役割になっているのだ。 注目したいのは、普段は響きのあるテノールボイスなのに対して、真とリングショップに行ってソワソワしている場面では裏返った声を出すなど、シーンの意図によって声色を変化させていることだ。それぞれのシーンで任されている役割を理解し、的確な芝居で物語に必要な色を加えていることが分かる。手嶋を演じる阿部自身のインテリな一面とチャーミングな一面のバランスや、声質のよさがあるからこそ、手嶋がより魅力的なキャラクターになっているといえるだろう。 手嶋は作品全体を引き締めつつも面白みも生み出すという役割として、作品のなかでとても重宝されていると言えるだろう。後半の第8話でメイン回を任されたことが、その何よりもの証拠だ。 第8話では、手嶋が何者かに襲われて拳銃が奪われ、しかもその犯人のうちの一人が拳銃で射殺されるという事件が発生。これまでにないほど手嶋が追い詰められる展開となり、手嶋の過去の因縁も描かれるようだ。 自責の念に駆られて葛藤する手嶋の知られざる一面を、阿部がどう演じるのかにも注目したい。
古澤椋子