<2年越しの春へ・県岐阜商>応援団も声出さず コロナ対策…生演奏なく録音で あす初戦、身振りと手拍子でリード /岐阜
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2年ぶりに開幕した第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)では、新型コロナウイルス感染の予防策として、アルプス席に入る観客数は制限され、吹奏楽部の生演奏も禁止された。23日に初戦を迎える県岐阜商(岐阜市)は、吹奏楽部が事前に録音した応援歌などに合わせ、全員が女子の応援団員11人が声でなく、太鼓やメガホンを打ち鳴らし、身ぶりも加えて応援をリードする。「野球部の活躍を後押ししたい」と意気込む。 県岐阜商では、出場のたびに吹奏楽部の力強い演奏がスタンドを盛り上げてきた。今年は全出場校に対し、太鼓のみが許可された。そのため、県岐阜商の吹奏楽部は現地に入らない。 吹奏楽部顧問の杤井克哉教諭によると、57人いる部員は13日、一人一人の間に仕切りを置きながら合奏し、応援歌や校歌など計10曲をCDに録音した。さらに14日、練習後の野球部員を屋内練習場に集め、応援歌を演奏して送り出した。 応援団副顧問の小泉裕子教諭によると、コロナ禍以前は、東海や全国大会出場を決めた部を激励する壮行会が開かれてきたが、2020年度は実施されなかった。甲子園でも声出しが禁止され、演舞もできない。しかし、応援席の観客がメガホンをたたいて応援できるよう、ジェスチャーで引っ張る予定だ。 学校の練習でも大声を出せない。しかし、夏以降も見据え、学ランでの応援に耐えられるよう走り込みをし、体幹トレーニングで切れのある演舞の動作を磨いている。「甲子園に行けることに感謝しているので、(応援に)制約がつくことに不満はない」と話す。 10日に同校体育館であった野球部の選抜旗授与式では、若原かえで応援団長(3年)だけが声を出し、他の部員は太鼓と振りでエールを送った。若原団長は「本当は声を出して校歌を歌いたいし、観客にも『フレーフレー岐阜商』と言ってほしいが、エールをできたことに感謝している」と話した。 若原さんは「甲子園で輝くのは野球部だが、自分たちにとっても目標の場所。昨年甲子園に行けなかった応援団の先輩の思いもこめて、応援で野球部の活躍を後押ししたい」と心待ちにしている。 21日の雨天のため、市和歌山(和歌山)との初戦は、23日の第1試合(午前9時開始)に順延された。【熊谷佐和子】