窪塚洋介の伝説が始まった「24年前のドラマ」…転落事故、問題発言…破天荒すぎる男の生き様
日本の役者業界において、窪塚洋介という男は異端である。 映画にはコンスタントに出演しているものの、「もう民放ドラマ出ません宣言」をして、実際2003年を最後に民放テレビ局のドラマには長らく出演していませんでした。 【写真】今後「旧ジャニーズタレント」が恋愛ドラマに出演するのは厳しくなる? ところが、21年ぶりに民放ドラマに出演して大きな話題になります。 26年ぶりに復活したSPドラマ『GTOリバイバル』(フジテレビ系)に、当時と同じ役柄で登場したのです。 窪塚さんが演じた菊池は高い知能を誇り、いつも飄々としていて何を考えているかわからない役どころでしたが、それは今なお語り草になる彼の代表的キャラクターにも通底している特徴だったのかもしれません。 そう、『IWGP』のあのキャラです。
監督の反対を押し切った『IWGP』の“キング”像
1998年の『GTO』は大ヒット作となりましたが、さすがに出演していた生徒一人一人の知名度が爆上がりすることはなく、窪塚さんはまだ知る人ぞ知るというレベルの若手俳優でした。 「窪塚洋介」という役者の名が世に知れ渡るのはその2年後。 長瀬智也さん主演のドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年/TBS系)にて、カラーギャングのボス“キング”を演じたことでブレイクするのです。 『IWGP』と略されたこの作品は、東京の池袋を舞台に援交ギャルの殺害事件やカラーギャング同士の抗争を描いた原作小説をもとに、バイオレンスありギャグありで、“2000年の池袋のリアル”を見事に切り取ったエッヂの効きまくったドラマ。 下世話かつ混沌としたカラフルなモザイクのような作品で、“キング”はある意味、『IWGP』のカオス感を象徴したようなキャラクターでもありました。 普段はおちゃらけて飄々としており、愛嬌もあるものの、内に狂気をはらんだ空気感を常に滲み出している。実際、キレるとその残忍性が表に出て、誰も止められなくなるカリスマ――それが窪塚さんの演じた“キング”でした。 このドラマは、現在はお互いを盟友と呼び合う仲になっている堤幸彦さんが監督を務めていたのですが、実は堤さんの構想では“キング”のキャラクターはまったく違うもので、当時窪塚さんと意見が割れていたというのは有名な話。 昨年、窪塚さんはとあるインタビューで、自身が原作小説の“キング”とはかけ離れた演技プランを提案したところ、堤監督からダメ出しをされて衝突していたことを懐古。最終的に堤さんが折れ、「もういいよ、君の好きにしな」といった言葉をかけてくれて、あの“キング”像が誕生したのだそうです。 2021年に窪塚さんと堤さんの対談インタビューが行われた際にも、“キング”誕生秘話は語られていました。窪塚さんからそのトリッキーな演技プランを提案された堤さんはショックだったとしながらも、「でも画にしてみたらめちゃくちゃ面白いし、その時代の日本にものすごい矢を放った。世の中にキングがあふれちゃったくらいですから」と笑い話に。 ちなみに堤さんの言う「世の中にキングがあふれちゃった」というのは、金髪にチェックシャツと白いタンクトップがトレードマークだった“キング”。かくいう窪塚さんと同世代の筆者も、恥ずかしながら髪を染めて白タンクを着て、街を闊歩していた時期も……。堤さんが言う世にあふれたキングのうちの一人がここにいたのです。 ちなみに窪塚さんが『GTOリバイバル』に出演するまで最後の民放ドラマ出演となったのが、2003年3月にスペシャルドラマとして放送された『池袋ウエストゲートパーク「スープの回」』。最後にもう一度“キング”を演じた後に、20年以上も民放ドラマから距離を置いたということなのです。