年金を運用している「GPIF」という組織。どのような組織なの?
現役世代のみなさんは毎月年金保険料を払っていますね。この年金保険料はその時々の高齢者世代への給付となっています(賦課方式)。 当然ですが、現役世代の方がもらう年金は、子や孫世代が払う年金保険料で賄われることになります。ただし、すべての年金保険料が給付にまわっているわけではなく、一部は運用されています。 今回はその公的年金の運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)についてみていきます。
GPIFとは
GPIFは、1961年に前身の年金福祉事業団として設立され、2006年より年金積立金管理運用独立行政法人となりました。ちなみに、GPIFは「Government Pension Investment Fund」の略です。 GPIFは年金保険である国民年金と厚生年金の年金積立金を、厚生労働大臣の預託により管理・運用しています。 年金保険料から集められた公的年金積立金は、このGPIFが信託銀行等の運用受託機関を通して国内外の株式市場や債券市場で運用し、その運用収益を年金給付の原資の一部にしています。 公的年金の運用をする機関としては世界最大級で、2023年末時点での運用資産額は224兆7025億円で、その運用額の大きさから株式市場からは「クジラ」とも呼ばれています。
GPIFと日本年金機構はどう違うの
どちらも公的年金に関しての組織です。日本年金機構は、国(厚生労働大臣)の監督のもと、公的年金制度の運営を行う組織で、具体的には公的年金の加入や年金保険料の徴収、年金の支払いに関する業務を行います。 それに対してGPIFは、国(厚生労働大臣)から寄託を受け、年金積立金の管理・運用を行います。そしてその運用によってあげた収益を国庫に納付することにより、年金財政の安定に貢献することを業務としています。
どのような運用をしているの?
運用のコンセプトとして、年金積立金は、長期にわたって資産を保有し、債券や株式など複数の資産に分散投資し、安定的に運用されています。 実際に運用を行う場合は、資産ごとにどの程度配分するかという「資産構成割合」を基本に運用しています。資産構成割合は「基本ポートフォリオ」ともいいます。その際、年金積立金は価格の動きが異なる複数の資産に分散投資をすることでリスク分散させることで運用しています。