原点回帰の「足攻」で魅せた明徳義塾・奥野 センバツ交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は10日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕し、第2試合は明徳義塾(高知)が6―5で鳥取城北に逆転サヨナラ勝ちした。 【明徳義塾―鳥取城北 熱戦の様子を写真特集で】 打球が左翼手の定位置付近に上がったのを確認すると、明徳義塾の奥野は「自分の足を信じた」。同点の五回1死三塁。すぐに戻って三塁ベースに白色のスパイクを付けた。捕球とともに一気に加速。頭から滑り込んで雄たけびを上げた。「試合前のシートノックを見て、(左翼手の)送球が安定していなかった。肩も強くなかった」。50メートル5秒7の俊足、そして冷静な分析力で得点を生み出した。 京都府舞鶴市で過ごした小学生の頃から足がめっぽう速かった。鬼ごっこを始めると、友達から「すぐに捕まるから鬼をやらんといて」と、NGが出たほど。「高校でも足で生き残れたら」と磨きをかけ、昨秋からリードオフマンの座を勝ち取った。 だが、独自大会ではパワーがついたことによる長打狙いが裏目に出た。思うようにチームに貢献できず、準優勝に終わった。「自分勝手な打撃だった」と反省し、最後の試合では原点に回帰した。 この日は四死球で4度出塁し、2度生還した。「安打は出なかったが、本塁を踏めたのでうれしかった」。縦じまの線が見えないほど真っ黒に染まったユニホーム姿で白い歯を見せた。【安田光高】