【評論家の視点】自分を信用して投げていたソフトバンク大津亮介 無四球の先発初勝利で証明したコントロールの重要性
◆ソフトバンク8―1ロッテ(4日、ペイペイドーム) 【西村龍次の視点】 ソフトバンクの大津はプロ初先発の緊張もあり、決して余裕はなかったはずだ。初回2死から藤岡に一発を打たれて「あれっ」という感じにもなっただろうが、その後はホームを踏ませなかった。6回で8安打されても四球はなし。コントロールで崩れる心配がないからこそ、マウンドで自分を信用して投げられていた印象だ。 ■「えーっ!ラブラブですやん」柳田が夫人と2ショット【写真】 ストライク先行の状況を多くつくり、カウント負けすることも少なかった。ロッテ先発の美馬が初回に2四球が絡んで6失点したのとは対照的だった。ストライクゾーンにどんどん投げ込んだ分、ヒットは美馬より打たれたが、走者を背負っても落ち着いていた。 バッテリーを組んだ海野のリードも良かった。初回はソトにチェンジアップを左前打にされた後、山口を直球で空振り三振。待たれている可能性があるチェンジアップを使わずに仕留めた。どの球団も正捕手は配球の傾向などを徹底的に研究されており、2番手捕手は絶対に必要。海野は3球勝負などで意表を突く配球もあり「こんなリードができる」ということを見せられたのも収穫だった。 もちろん一挙6点の初回の攻撃も大きかった。特に柳田の好走塁は素晴らしかった。1死二塁で四球を選び、山川の左翼線二塁打でホームを踏んだが、左方向の打球で一塁走者が一気に生還することはなかなかない。あそこで逆転できたことで、2ランの近藤も気楽に打席に入れたはずだ。 初回の打線の爆発力とつながりは、他球団には改めて脅威に映っただろう。投手陣も危なさを感じさせなかったのは、先発初勝利を手にした大津を含めた4投手の「無四球リレー」が大きい。プロ初登板だった新人の澤柳と岩井、制球重視の杉山もいいものを見せてくれた。(西日本スポーツ評論家)
西日本新聞社