親が銀行に退職金も含めて5000万円預けています。破綻したときには保護される1000万円以外は本当になくなってしまうのですか?
銀行などが破綻してしまったとき、預けていたお金はどうなってしまうのか、誰しもが不安を覚えるのではないでしょうか。そのような事態において、預金者を保護するために「預金保険制度」という制度があります。今回は、この「預金保険制度」によって、どこまで預金が保護されるのかを解説していきます。
預金保険制度とは
預金保険制度は、金融機関が破綻したとき、預金者の保護や資金決済の確保によって信用秩序を維持することを目的とした制度です。この制度によって、利息がつく預金などについては、1金融機関につき、預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息などが保護されます。 この制度は金融機関に預金をすることで自動的に適用されるため、預金者自身の加入手続きなどは不要です。 ■制度の対象となる金融機関 預金保険制度の対象となる金融機関は、日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫です。 上記金融機関の海外支店や、政府系金融機関、外国銀行の在日支店は制度の対象外です。 ■制度の対象となる金融商品 預金保険制度の対象となる金融商品は、次のようなものとなります。 ・預金(当座預金、普通預金、別段預金、定期預金、通知預金、納税準備預金、貯蓄預金) ・定期積金 ・掛け金 ・元本補てん契約のある金銭信託(ビッグなどの貸付信託を含む) ・金融債(保護預かり専用商品に限る) 出典 預金保険機構「預金保険制度の概要」の「預金保険制度の対象となる預金等」より筆者作成 外貨預金や譲渡性預金、無記名預金、金融債(募集債および保護預り契約が終了したもの)などは保護の対象外です。 ■預金などが保護される範囲 金融機関が破綻したとき、預金などが保護される範囲は、対象となる預金が「決済用預金」か「一般預金」なのかで異なります。決済用預金とは、以下の3点を満たしている預金のことです。 1.決済サービスを提供できる 2.預金者がいつでも払い戻しを請求できる 3.利息がつかない 当座預金や利息のつかない普通預金などはこの決済用預金に該当します。決済用預金は預金保険制度で全額保護されます。 一方で、利息のつく普通預金や定期預金などは一般預金に分類され、1金融機関ごとに合算して、預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息などが保護されます。 なお、金融機関が合併などをした場合は、その後1年間に限り、保護される金額の範囲は、「預金者1人当たり1000万円×合併などに関わった金融機関の数」による金額となります(全額保護される預金を除く)。例えば、2行合併の場合は2000万円となります。