センバツ・札幌大谷 第2部/上 勝利へのチーム作り 持ち味を最大限に 大所帯、部員が自ら統括 /北海道
<第91回選抜高校野球> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の開幕まであと1カ月。本番に向け、札幌大谷、札幌第一のメンバーは練習にも熱がこもる。第2部では、両校がそれぞれ、チーム作りや攻守の特徴をどう捉え、課題に取り組んでいるのかについて迫る。【土谷純一】 札幌大谷の部員は現在、マネジャーを含め総勢56人の大所帯だ。就任4年目となる船尾隆広監督は「毎年、学年によって特色は違う。大谷にチームカラーは特にない」という。それぞれの持ち味を最大限生かすため、良いところを伸ばし、選手に合わせてチームを作っていく方針を貫く。 船尾監督は練習中、技術について選手たちにアドバイスを送ることはあっても、それぞれの態度や野球以外の面について頻繁に口を出すことはない。 「選手たちに任せている」という船尾監督から、チームの取りまとめを託された飯田柊哉主将(2年)は「何事においても気配りが大事だ」との監督の教えを忠実に守っている。あいさつは一度立ち止まってからする、練習場や道具は丁寧に扱う--などに部員全員が心がけるよう目を配る。 飯田主将とともに、チーム運営の柱となっているのは森優太マネジャー(2年)と副主将の2年生2人、1年生2人だ。6人は無料通信アプリ「LINE」でグループを作り、チームの現状などを話し合ったり、何かあったときにミーティングを開くかどうか相談をしたりする。 大所帯の大谷では、部員によるミーティングは学年単位で開くことが多く、主に学校生活全般や授業での過ごし方について話し合う。 森マネジャーは昨年の夏の大会まで選手だった。そのため「選手が野球以外でなるべく気を使うことがないよう、普段の生活態度をよく見て気にするようにしている」と話し、できるだけ選手の気持ちになって動くよう心がけている。 大谷の練習は、時折笑みがこぼれる明るい雰囲気だ。ウオーミングアップの段階から、ダッシュで大きな声を出し、互いに気合を入れ合う。きつい練習でも、励まし合って乗り切ってきた。 高校から大谷に入学した副主将の小関慎之助選手(1年)は入部前、中高一貫校ということもあり「上下関係は厳しいんじゃないか」と想像していた。しかし、新入りの自分も分け隔てなく受け入れられ「輪に入りやすかった」と振り返る。 船尾監督は今年のチームスローガンに「泥臭く、前向きに」を掲げた。加えて、センバツに向けての目標は「初戦突破」。飯田主将は「神宮大会は初戦の接戦を勝てたからこそ勢いがついた。泥臭く1勝して、前に突き進みたい」と自身とチームに奮起を促す。