下剋上で26年ぶり日本一達成! DeNAが短期決戦を勝ち抜く「ポイントとなった3試合」とは
横浜スタジアム、そして隣接する横浜公園が揺れていた。 11月3日、DeNAが日本シリーズ第6戦でソフトバンクを下し、日本一に輝いた。リーグ戦の貯金わずか「2」で3位に滑り込んだDeNAが、シーズン91勝で圧倒したソフトバンクを倒す――。短期決戦ならではの「下剋上」を目の当たりにした。 【動画】DeNAのガッツマン!桑原将志が勝ち越しホームラン 本稿ではクライマックスシリーズ(CS)、ならびに日本シリーズでDeNAが勝ち抜くにあたりポイントとなった3試合を振り返る。 ■CSファーストステージ:虎の息の根を止めた2本塁打 阪神とのCSファーストステージで先勝したDeNAは、続く2戦目で先制されながらもすぐに逆転。その後展開は膠着し、4-1で終盤に入った。 7回表、先頭で代打出場したのがマイク・フォード。3ボール1ストライクから村上頌樹の直球を捉えると、打球はライナーで阪神ファンが占める右翼席へ。貴重な追加点のソロを放った。フォードはシーズン途中で入団、ほとんどの期間を2軍で過ごす「保険」のような外国人打者だったが、ここぞの一振りでチームに貢献した。 さらに、連打で走者2人を置いて、3番・佐野恵太が代わった富田蓮からダメ押し3ラン。完全に試合の流れをつかみ、そのまま勝利。連勝でファイナル進出を果たした。 ■CSファイナルステージ:日本S行きを賭けた最終戦 巨人とのCSファイナルステージは熾烈を極めた。いきなりDeNAが3連勝でそのまま行くと思いきや、リーグ王者・巨人も黙っておらず2連勝。日本シリーズ進出の行方は最終第6戦に委ねられた。 4回までは巨人が2点リード。ベテラン・坂本勇人が躍動し、先発・戸郷翔征が好投と役者が仕事をする一方、DeNAは若手遊撃手・森敬斗の守備に綻びが見られた。 それでも5回、その森の三塁打とフォードの代打適時打で追いつき、8回まで2-2の同点で進む。決着がついたのは9回、異例の救援登板・菅野智之から好機をつくると、牧秀悟が三遊間突破の決勝打をマーク。裏は守護神・森原康平が3人で抑え、見事にCSを勝ち抜いた。 ■日本シリーズ:投手陣に勇気を与えたエースの投球 ソフトバンクとの日本シリーズは、本拠地で連敗スタート。下馬評通りこのまま敗れ去ってしまうのかと思われたが、DeNAは敵地・福岡で息を吹き返して3連勝。勢いに乗って本拠地に戻っても猛打爆発で最後の1勝をつかみ取った。 今思い返すと、シリーズ初勝利となった第3戦の勝利は非常に大きかったと思う。 特に先発マウンドに上がった東克樹の働きは抜群だった。時に指笛の「妨害」に遭いながらも強気の投球を貫き、7回1失点の快投。チームを勝利へ導くとともに、次戦以降のアンソニー・ケイ、アンドレ・ジャクソンのパワーピッチングを引き出した。 このように短期決戦を勝ち抜くにはターニングポイントとなる試合が必ず現れる。そこで結果を残し続けること、劣勢になっても諦めずに戦い続ければ報われることを今回のDeNAナインが教えてくれた。 大きな教訓を残して、2024年のプロ野球は幕を閉じた。 [文:尾張はじめ]