賃金や雇用にも影響、「エネルギーコスト高問題」とは?
自然エネルギーも電気代上昇の原因
日本は、原発事故の反省や地球環境への負担減から、自然エネルギー(再生可能エネルギー)に力を入れていくことになっています。自然エネルギーの導入を促進するために「固定価格買取制度」がありますが、この制度、年を追うごとに消費者の金銭的負担が蓄積する仕組みになっていることはあまり知られていません。 電力会社は自然エネルギーによって発電された電力を、国が決めた価格で一定期間買い取り続けることになっており、電力消費者は電力会社の買い取り資金を負担(賦課金)します。 いま日本では一家庭あたり年2700円の負担ですが、日本に制度で先行するドイツでは年3万円の負担になっています。2014年度は6500億円だったのに対して、2015年度は1兆円を超えるとみられています。 これも大きな負担になっているというのが産業界の言い分です。「再生可能エネルギーの無秩序な拡大の傾向が続けば(中略)国際競争力の喪失に繋がる」と言い、賦課金の上昇に歯止めをかけるよう求めています。
解決の道筋はあるのか?
本来なら、国内で誰かに分配されたはずの10兆円が外国に出て行ってしまっているのですから、これは大きな損失です。しかも、燃料の高騰、電気代の高止まり、そして再値上げが懸念されていることは、私たちの生活や雇用につながってくる問題なのです。 「エネルギーコスト高問題」は解決できるのでしょうか? 産業界が求めている早期の原発再稼働、固定価格買取制度の見直し、現在バラバラで調達している天然ガスの共同調達などを国は対策として進めていくとしています。 私たち国民一人ひとりにできるのは「さらなる省エネ」です。日本では、オイルショック以降、エネルギー利用効率が改善し、世界最高水準になりました。企業による省エネ製品の開発はもちろんですが、省エネ商品の買い替えなどもじわじわと効果があると考えられています。