今年からはじまった「固定資産税が3分の1になる」制度…必ず申請すべき!とはいえないワケ【税理士が解説】
令和5年度の税制改正で導入された、中小企業の「固定資産税減税制度」。“最大5年間、固定資産税が3分の1になる”と聞くと、節税対策に効果的であるように思えます。しかし「実はそうともいえない」と、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏はいいます。いったいなぜでしょうか。詳しくみていきます。 職業別「平均年収」ランキング…<令和4年賃金構造基本統計調査>
知ってた?4月から始まっている「固定資産税の減税制度」
――経営者は事業に使う機械設備・備品などを会社で所有している人も思います。これらには「固定資産税」がかかってきますが、今年の4月から最大5年間、固定資産税が3分の1になる制度ができました。これって、いいニュースですよね? 黒瀧氏(以下、黒)「そうですね、いいニュースでもあり、一部悪いニュースでもある、といったところでしょうか」 ――え、そうなんですか!? 詳しく教えてください。 「固定資産税」とは? 黒「そもそも固定資産税とは、 ・土地 ・住宅やお店などの建物 ・工場の機械 ・会社の備品 などを「固定資産」といい、これらにかかる税金が「固定資産税」です。もう少し厳密にいうと、「固定資産の所有者に対して市町村が課税する税金」ということになります」 ――なるほど。市区町村に納める「地方税」ってことなんですね。 黒「はい。固定資産税は、『土地や建物以外の事業(ビジネス)で使う資産』が対象です。機械や備品などは、固定資産のなかでも『償却資産』に分類されます。今回お話しする固定資産税の減税は、この『償却資産税』のことを指していると考えてください」 ――わかりました。では、これにかかる税金はどれくらいですか? 黒「課税標準額に税率をかけたものが、固定資産税の税額になります。市町村は必要に応じて異なる税率を定めることもできますが、税率は原則1.4%です」 ――なるほど。課税標準額というものに税率1.4%をかけていくんですね。この「課税標準額」はどうやって決まるのでしょうか。 黒「みなさん機械・備品などを複数お持ちだと思いますが、それぞれの資産について、取得価額や耐用年数などをもとに自治体によって毎年の『評価額』が決定されます。その評価額をすべて合計したものが課税標準額です。 それぞれの資産の評価額は、[図表3]のような式で計算されます。たとえば30万円で買ったエアコンの評価額が、初年度は25万円、翌年度は20万円になるようなイメージです。 また、課税標準額が150万円に満たない場合は非課税となります。ただしその場合でも、申告の手続き自体は必要です」 ――なるほど。基本的なことがよくわかりました!では早速、「固定資産税が3分の1になる制度」について教えてください。