なぜ横浜F・マリノスは「10人でも強い」のか? ACL決勝進出を手繰り寄せた、豊富な経験値と一体感
準決勝で韓国の蔚山現代を撃破し、見事AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出を決めた横浜F・マリノス。4月24日に行われた準決勝の第2戦は、雨が降りしきる中、PK戦までもつれ込む激闘となった。40分に退場者を出して数的不利となり、42本のシュートを浴びながらも、10人でも破綻を起こさない粘り強い戦いと、PKストップも含めたポープ・ウィリアムの好守もあり、見事勝利を収めた。この試合をスタンドから見守ったキャプテンの喜田拓也と小池龍太の言葉とともに激戦を振り返り、マリノスがACL決勝進出を成し得た勝負強さの理由に迫る。 (文・本文写真=舩木渉、トップ写真=ロイター/アフロ)
スタジアムにこだました大歓声「これは絶対プレッシャーになる」
横浜F・マリノスのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出を信じるファン・サポーターは最後の最後までトリコロールの戦士たちに大声援を送り続けた。 「ポープ(ウィリアム)が守る時にこっちから僕が見ていたゴール裏の雰囲気が鳥肌立つくらいめちゃくちゃよかったので、『これは絶対にプレッシャーになるな』と思ったので、とにかくみんなに『頼む! 一緒に戦ってくれ!』と感じてもらえるようにやりました」 PK戦でマリノスの2番手を託された水沼宏太は、無事にPKを成功させるとファン・サポーターが陣取るゴール裏に向かって渾身のガッツポーズ。声援の音量は一気に上がり、日産スタジアムに大歓声がこだました。 第1戦を0-1で落として迎えたホームでのACL準決勝第2戦はドラマチックな展開となった。マリノスは30分までに3点を奪って2戦合計スコアで逆転するも、直後に1点を返され、40分には上島拓巳が一発退場に。それでも10人で延長後半まで蔚山現代の猛攻を凌ぎ切り、PK戦に持ち込んだ。 苦しくても踏ん張れたのは、ファン・サポーターが生み出したエネルギーのおかげと言っても過言ではないだろう。日産スタジアムに集まった観客は1万6098人だったが、マリノスのファン・サポーターの声援は4万人級……いや、6万人を超えているのではないかと錯覚するほどの圧倒的な熱を帯びていた。 PK戦ではアンデルソン・ロペス、水沼、松原健、天野純と4人目まで順調にゴールネットを撃ち抜いていく。その後、ポープ・ウィリアムが蔚山現代の5人目だったキム・ミヌのPKを止め、後攻のマリノスは5人目のエドゥアルドも見事に成功。クラブ史上初のACL決勝進出が決まった瞬間、選手たちは一目散にゴール裏のファン・サポーターの元へと駆けていった。