国内最大規模のヒメボタル群生地に風船 名古屋市・相生山緑地
名古屋市東部の天白区に残る「相生山(あいおいやま)緑地」で11月17日、住民らが市の計画する“道路“の高さを風船によってイメージする活動をしました。 高架道路を「空中公園」にできる? 名古屋で転用目指す動き 相生山はナゴヤドーム27個分にあたる面積約130ヘクタールの公園緑地。国内でも最大規模のヒメボタルの群生地とされ、大都市名古屋の中にある貴重な里山として親しまれています。
工事中断の緑地分断道路 防災目的でつなげる?
しかし、市は周辺の渋滞緩和などのため、緑地を横切る全長約900メートル、一部高架の2車線道路を計画。2004年に着工し、東西の出入り口から工事を進めて8割ほどまで完成していましたが、住民や公園利用者から「環境破壊だ」との反対運動が根強くありました。河村たかし市長は初当選後の2010年に工事をストップ。2014年には正式に「道路事業を廃止する」と表明していました。 市は建設済みの道路や橋脚は残した上で、周辺を「ユニバーサルデザイン公園」に整備するとしてきましたが、防災機能のため1車線は「園路」としてつなげる案も検討。12月16日に検討内容や今後の事業の進め方を示す説明会を地元で開く予定です。
風船を揚げて車道の高さを再確認
「風船」の活動は、市の動きに対して地元内外で多くの人に関心を持ってもらおうと、3つの市民団体が実行委員会形式で企画。残り2割の山中に高さ約5メートルの道路がつながれた場合、どのようなイメージになるかを確認しました。 親子連れを含めた約20人は、相生山に生息する生き物の絵を貼り付けた色とりどりの風船を手に緑地を歩き、「こんな頭上を車が走ったら鳥の声が聞こえなくなってしまう」「これ以上、手を付けないでほしい」などと意見を述べ合っていました。 主催団体の一つ「相生山の自然を守る会」代表の近藤国夫さんは「地元でも賛否はあるが、まずは実際にイメージして、関心を持ってもらうのが大事。その上で説明会でも市に意見をしたい」と話していました。 市緑政土木局は「園路建設は市長の道路事業廃止時にも表明していることで、これを含めて庁内会議で検討してきたことを説明会で報告し、地元と意見交換したい」としています。 (関口威人/Newdra)