<熊本地震>緊急消防援助隊・大阪府隊隊員に聞く被災地の現状
<熊本地震>緊急消防援助隊・大阪府隊隊員に聞く被災地の現状 THE PAGE大阪
熊本県で震度7を観測した最初の地震から21日で1週間となった。この地震を受け、関西からも各方面で支援活動が続けられているが、被災地で人命救助などにあたる「緊急消防援助隊」は大阪府大隊など各地の消防隊などが連日にわたり救助・救命活動を行っている。同日朝、新たに被災地へ派遣された部隊に活動を引き継ぎ、大阪へ戻った3人の隊員に活動時の様子を聞いた。
16日朝から熊本へ向かった
今回、取材に応じてくれたのは大阪府隊として救助・救急活動から戻った大阪府松原市の松原市消防本部・消防署西分署救急第1係長の本山正将さん、同警防課上席主任兼消防署警備第1係上席主任の青木宏悦さん、消防署西分署救急第1係の鍋屋隆さんの3人。16日朝に発生した地震を受け、召集されたという。 「16日朝に召集がかかり、消防署から緊急消防援助隊として熊本へ出発しました」と本山さん。消防署から救急車で出動し、高速に乗って向かったという。 移動が長かったが「とにかく早く熊本の方々の力になりたい」という思いで現地へ救急車を走らせた。
避難所で待機中に声かけ
17日午前4時すぎ、大阪府隊が活動する熊本県南阿蘇村へ到着。しかし、そこまでの周辺市町村も崩落などで通れない上、通れても亀裂が走る道路が多いなど、甚大な被害を目の当たりにしながら、ゆっくりと慎重に現場へ向かうしかない状態だった。 同村は一連の大規模な土砂崩れなどが起きており、救助隊は行方不明者らの捜索を行った。一方、本山さんら救急隊は避難所へ駆けつけた。 本山さんは「私たちは指定されていない、地域の方や一人暮らしの方々がいつでも来やすいという避難所で待機をしていました。話をお聞きしたら、指定の体育館に入れず、グラウンドで車中泊をされていた方もおられたり。移動する道路脇にとめた車で寝ている方々もおられました」と振り返る。
十分な活動ができず悔しい思いをしている
現地にいた時も、何度も強い余震が襲い「怖いから」と夜中に避難所へ駆けつけた人の姿もあり、車中泊をする人を目の当たりにすることが多かった。 車中泊で心配されているのが「急性肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」の発症だ。避難所で待機している際は、できるだけ定期的に「大丈夫ですか」「気をつけてくださいね」と声をかけ続けたという。 新たに派遣された隊員らに活動を引き継ぎ、大阪へ戻った本山さんらは21日午前、松原市消防本部へ戻った。本山さんは「なんとか熊本の力になりたいと思いまして出場させて頂きましたが、十分な活動ができず悔しい思いをしているところです。いまも余震が続く中、救急・救助活動を行ってくれている隊員がいます。1人でも多くの方を救出、救助してくれるよう祈っています」と話していた。