ギャラリー開館、原口典之氏作品を展示 「アートで滞留人口増加を」、鳥取・倉吉
鳥取県倉吉市の業務用品商社「丸十」が、倉庫を改装したギャラリー「アート格納庫M」を開館した。市にゆかりがある世界的に著名な現代美術家故原口典之氏の作品を常設展示する。岡野稔会長(77)は「アートを通して滞留人口を増やすきっかけになれば」と意気込む。(共同通信=坂井瑞基) ギャラリーは丸十の敷地内にあり、使用されていなかった倉庫を整備した。原口氏は鉄製のプールを廃油で満たした「オイルプール」をドイツの美術展で発表し、世界的に知られるようになった。2000年代には倉吉市に制作拠点を移した。 展示作「Oil and Water」は、縦6メートル、横2.4メートル、深さ18センチの鉄製のプール2槽を廃油と水で満たした作品。黒々とした廃油はギャラリー内の風景や、のぞき込む鑑賞者を鏡のように映し出す。 対照的に水は、ギャラリー内に吹き込む風で水面が揺れる。天候や時間に応じ、映し出される風景が変化する。
原口氏の作品は全国の美術館に収蔵されているが、岡野会長によると、水と廃油のプールを並べた作品は世界に一つしかない。高さが約6.5メートルある鋼鉄作品「Untitled FCS」なども展示される。 丸十は来年3月に県立美術館が倉吉市に開館するのに合わせ、街の見どころを増やそうと企画。今後は若手や地元作家の作品を展示販売し支援する他、県内の小学生を招待するなどアートを通じた地域振興を目指す。 開館記念に6月30日まで開催している「原口典之展」では、これらの立体作品に加え、絵画などの平面作品計17点を展示販売している。入館料は大人千円で学生は800円、中学生以下は無料。