「103万円の壁」引き上げに懸念 神奈川・黒岩知事「地方への影響にも配慮して」
日テレNEWS NNN
20日に見直す方向となった「103万円の壁」ですが、神奈川県の知事が21日に懸念を示しました。働く人にとっては“手取り増”につながる良い話である一方、実現のための具体的な課題も見えてきています。 ◇ 21日に“懸念”を示したのは神奈川県の黒岩知事です。 神奈川県 黒岩祐治知事 「制度の見直しは県財政に大きな影響を与える可能性もあることから、県政運営をあずかる身としては、地方への影響にも配慮していただきたい」 口にした“県財政への影響”。そのワケは「103万円の壁」の引き上げです。 神奈川県 黒岩祐治知事 「我々の言ってる不安の声に対して、どのようにお答えくださるかということは、しっかりと見守っていきたいと考えています」 自民・公明の与党と国民民主党の協議の末、20日に新たな経済対策に明記されることが決まった“壁の引き上げ”。実現に向け協議が進められています。 自民党 宮沢洋一税制調査会長 「いろんな影響も考えながら、現実的な案がどういう形でできるのか、しっかり協議をしていきたい」
“働き手”にとっては朗報です。 学生アルバイト(20) 「学生の身分からしたらうれしい。やっぱり年末休みの前とかは稼ぎたい。働いて稼いで、いろんなところ遊びに行きたいので」
一般に、年収が“壁”を超えると所得税が発生し、学生の場合は親の扶養から外れ、親の税負担も増加(勤労学生控除を受ける場合は除く)。年末が近づき、“壁”を意識して、働きたいのに働けない“働き控え”の解消につながりそうです。 学生アルバイト(20) 「みんなやばいって、103万円じゃ無理って言ってます。壁なくす、上げたりしてほしい」 ただ、その裏で大きな課題となっているのが、財源をどう確保するか。具体的な引き上げ幅が決まるのはこれからですが、仮に、国民民主党が主張する「178万円」までの引き上げが実現した場合、国と地方であわせて約7兆6000億円の税収が減ると、政府は試算しています。 神奈川県の場合は… 神奈川県 黒岩祐治知事 「最大で1000億円近くの減収影響が出るということであります」 見直し自体には反対していないとしつつも、補てん方法が示されていないことを指摘しました。多くの自治体が“悲鳴”をあげています。 神奈川県 黒岩祐治知事 「我々がこういう問題を抱えてるということを、しっかりご理解いただいた上で議論を進めていただきたい」 東京・新宿区は約85億円の減収となる見込みです。そうなると、起こりうるのが…
東京・新宿区 吉住健一区長(20日) 「給食費、あるいは高校生世代までの子どもの医療費。現在無償化されていますが、そうした事業、区が独自の判断で提供してきた行政サービスを継続することは難しく、取捨選択しなくてはなりません」 “壁”を動かすことは賛成としながらも、地方の実態を把握した上で制度改正を進めてほしいと訴えています。 さらに「103万円の壁」を乗り越えても、その先には“社会保険料の壁”も存在します。働き方を縛るこれまでの制度をどう見直すか。今、しっかりとした議論が望まれます。