山形県産サクランボ・収穫量過去最低の恐れ―独自対策の果樹園ルポ
山形放送
ことしの山形県産サクランボは6月の高温などの影響で大きな打撃を受け、収穫量が過去最低の水準になる恐れが出ています。 こうした中、独自の対策に取り組み平年並みの収穫量を確保できたという山形県上山市の観光果樹園を取材しました。 3日午前、上山市の観光果樹園「高橋フルーツランド」には県外からおよそ20人の観光客が訪れ、佐藤錦や紅秀峰を味わっていました。 茨城から「めっちゃうまい」 「おいしいです。ジューシー」 「甘い!」 「地元であまり食べられないので食べれてよかった」 ことしの山形県産サクランボは、去年夏の猛暑の影響で実が2つくっついた「双子果」が多く発生。 さらに6月の高温によって実が傷むといった影響が出て、収穫量が過去最低の水準になる恐れが出ています。 観光果樹園にも影響が出ています。 上山市観光物産協会によりますと、市内に6か所ある観光果樹園は例年、7月中旬まで営業していますが、 ことしは6月中に営業を終える果樹園も出ているということです。 一方、現在も営業を続けている「高橋フルーツランド」では、独自の高温対策に取り組んで平年並みの収穫量を確保できたといいます。 高橋フルーツランド・高橋真也社長「出来るところは早めに遮光したので、今でも収穫できるような状態。大変よかった」 6月上旬、出荷用のサクランボを栽培するハウスに高温対策として日光をさえぎる遮光シートを設置しました。 2度から4度ほどハウス内の温度が下がり、高温被害を防いだといいます。 園内のほかのハウスでは、スプリンクラーによる水まきを通常行っている木の根元部分だけでなく、ハウスの天井付近にも行いました。この取り組みによってハウスの中の温度を下げることができたということです。 高橋フルーツランド・高橋真也 社長 「今まではやったことなかった。下にはかけたことあるけど。ハウスの中の温度を下げる工夫で30分おきくらいでこまめに灌水した(水をまいた)」 これらの対策によって実が傷むなどの高温障害を防ぎ、収穫量は平年並みを確保できたといいます。 高橋フルーツランド・高橋真也 社長 「これからはいままで以上に高温の管理をしていかないと生育は難しい状況。県全体でよくなっていくといい」 今シーズンのサクランボの深刻な状況を受け、山形県は高温に対応するための技術開発の検討や双子果発生を防ぐための講習会の開催などといった対策に取り組んでいく方針です。