自民党内で検討進む「共謀罪」って何?フランステロで再浮上
1つ目は、その犯罪が「死刑、無期又は長期4年以上の懲役又は禁固に当たる重大な犯罪」であること。2つ目は、その共謀が「団体の活動として」組織で犯罪を行われるものであること、または「団体の不正権益」の目的の場合に限ること、3つ目は「特定の犯罪が実行される危険性のある合意が成立した場合のみ処罰する」ということだ。 法務省は「共謀罪」には厳格な要件が付され、暴力団による組織的な殺傷事件や振り込め詐欺などの組織的詐欺、暴力団の縄張り争いなどに限定されるとして「国民の一般的な社会生活上の行為が本罪に当たることはあり得ません」としている。個人的に同僚や友人と犯罪の実行を合意したり、居酒屋で意気投合しただけでは「共謀罪」は成立しないと説明する。
「日本の刑事法体系と根底から矛盾する」との批判
一方で「共謀罪」創設に対しては、日本弁護士連合会や野党が強く反発し、これまで3度国会に提出されたものの、いずれも廃案になっている。その主張のひとつは、対象の犯罪が広すぎるという指摘だ。 日弁連の発表した反対意見によれば、政府の定義では「重大な犯罪」は600種類を超えていて、釣銭詐欺やキセル乗車も含まれてしまう。政府の説明では共謀罪の適用が暴力団などの組織犯罪に限定されるとしているが、何が「団体」にあたるのかあいまいで、労働組合、会社組織なども含まれてしまう可能性も否定できない。さらに「共謀」は、目配せや相談の場に同席するだけで成立するとされ、適用範囲がとても広くなる可能性がある。 日弁連が何より問題視するのは、「共謀罪」という考え方が、日本の刑法の考え方と根本的に矛盾する点だ。日本の刑法は、犯罪が実行されて結果が生じた「既遂」を取り締まることが原則だ。例外として法律で特に定められた場合、実行の着手段階である「未遂」も処罰される。さらに例外的に、殺人などの重大犯罪のみ、準備段階も取り締まる「予備罪」が設けられている。「共謀罪」は現行の刑法上にも存在するが、内乱罪などさらに特異な状況に限って適用される。新設される「共謀罪」がすべての「重大犯罪」に適用されるとすれば、非常に特異な場合に限られていた「共謀罪」の範囲が大きくなり、法体系が崩れてしまうとの主張だ。