ホンダ「2024 ビジネスアップデート」。EVとその先にある技術が急速展開を見せる
ZEROシリーズで加速するSDV化。AD/ADASを中心に新たな価値
2024年5月16日、ホンダの企業変革に向けた取り組みについての説明会「2024 ビジネスアップデート」が開催された。三部社長の就任から4回目となる今回の会見では、次世代EV「ZEROシリーズ」から始まるSDV化計画のロードマップを中心に、バッテリーサプライチェーン構築、メガキャストの採用、超小型モビリティの国内発売ほか、具体例もふんだんに盛り込んで一歩踏み込んだホンダの電動化戦略が熱く語られた。 【写真】ホンダの新戦略、最新技術をわかりやすいイラストなどで見る 欧米の自動車メーカーの多くがEVへの投資計画見直しを発表するなか、ホンダの三部社長は「すべて想定内であり、かねてよりのホンダの計画に揺るぎはない」ことを強調した。2輪や4輪などの小型モビリティの電動化にはEVがもっとも有効なソリューションであり、2030年にはEV/FCEVのグローバル販売比率を40%まで高め(EV200万台)、2040年にはその比率を100%とする目標は今後も変わらない。勢い、会見ではEV戦略、なかでも急速に進行しているSDV化を中心に説明がなされた。 三部社長は「とくにAD(自動運転)/ADAS(高度運転支援システム)の領域は劇的に進化する。その新しい波は、2026年からグローバルで発売開始される次世代EVのZEROシリーズ(Honda 0シリーズ)」から始まると語り始めた。 最初に発売されるのは、CES2024で初公開された2台のコンセプトモデルのうち、「SALOON」と呼ばれる4ドアサルーンだ。“Thin(薄く)”、“Light(軽く)”、“Wise(賢く)”を謳い、コンセプトモデルにかなり近いデザインで市販されるという。 ●“Thin(薄く)” 新開発のEV専用プラットフォームを初採用。他社EVとの平均値比で10%以上低く、前後のオーバーハングも同じく10%短縮される。併せて新開発の小型e-Axcelと超薄型バッテリーパックを車体中央に低重心でレイアウトすることで、新時代のMM(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想を具現化しているという。 ●“Light(軽く)” EVといえども操る喜びは無視できない。「SALOON」の市販モデルはホンダの市販EVよりおよそ100kgの軽量化を実現しながら、ASIMOの開発で蓄積したロボティクス応用技術(「姿勢角推定ロジック」)や4輪の駆動力を最適配分(「3Dモーション統合制御」)も併用することでホンダ車らしい爽快なハンドリングも実現する。モータースポーツ活動で培った高効率なパワーユニットと空力技術も盛り込み、ZEROシリーズ全車で300マイル(およそ483km)以上の航続距離も実現する。 ●“Wise(賢く)” これこそがホンダ次世代EVの最重要エレメントだ。ソフトウェアプラットフォーム(「Honda e:アーキテクチャー」、いわゆるビークルOS)の実装が始まる。その上にはさまざまなアプリケーションが折り重なり、クラウドサーバーとつながることで、常にユーザーに最適な機能を提供する進化するEVだ。当初は、ボディコントロールやセンシングなどゾーンごとのドメインアーキテクチャーから始まるが、2020年代後半には車両全体の機能をコアECUによってコントロールする「セントラルアーキテクチャー」に昇華される。 ZEROシリーズは、「SALOON」を皮切りに2026年中には「中型SUV」、「エントリーSUV」、2027年には「3列シート大型SUV」の発売を予定している。さらに「コンパクトSUV(2028年)」、「スモールSUV(2029年)」、「コンパクトセダン(2030年)」などグローバルで7車種を発売する計画だ。登場年次が後になればなるほど、セントラルアーキテクチャー化が進んでいく。