賞味期限はたった72時間...起業家教育の名門大学が教える「ビジネスアイデアを腐らせない」ための鉄則
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第16回 『ナイーブな日本人が参考にすべき、起業家教育の名門・バブソン大学のポジティブすぎる「カルチャー」』より続く
まず、行動しよう
頭の中で考え過ぎず、まず行動しよう 挑戦しよう、起業をしてみよう、事業を始めようという場合、多くの人は、「計画」を立てようとします。もちろんそれは大切なのですが、計画そのものではなく「計画書」の作成にこだわり過ぎるとあまりいい展開になりません。 リスクをとりながらリターンを最大化できるように、取り返しのつかない失敗は避けられるように、応援者・支援者が増えるように、つまりビジネスが成功するように計画を立てるのですが、計画書を綿密にしよう、説得力を高めようとしすぎて、作成に時間がかかり過ぎてしまう傾向があるのです。考え抜いた挙句、計画自体を止めてしまったり。 まず、行動しよう。 計画は大切です。でも、完璧な計画なんて、そもそもあるわけがないのです。未来のことなんて誰にもわかりません。いまわかることで計画を立てても、必ず修正、修正、修正を繰り返すことになります。
「72時間の法則」
ただ、この修正は悪いことではありません。状況が変わればプランを最適化していくことは当たり前です。VUCAの時代、誰だって5年後どころか3年後、2年後の予測さえもつかなかったりします。計画は必要ですが、それは「修正を前提としたもの」でなければなりません。 逆に、最初に完璧だと思える、詳細で細かい計画を立てていると、修正が利かなくなってしまいます。詳細なビジネスプランはいりません。いかにスタートするか、そのためのローンチプランを考えたほうが得策です。 ローンチ、すなわち、「発射」するための準備で良いのです。いかにスタートするか、そのために何が必要なのか、必要最低限の情報でまとめ上げたプランが現実的です。 もう一つ、即座に行動に移したほうが良い理由があります。それは行動心理学の言葉で「72時間の法則」、私は“72 hours magic”と呼んでいます。 誰しも、素晴らしいビジネスのアイデアを思いつくとき、誰かから刺激を受けてやる気に満ちあふれているときがあります。もう、最大限に盛り上がっています。脳からアドレナリンが出まくっています。 ところが、72時間後には、それはきれいサッパリ治まってしまうのです。頭の中にアイデアはあります。「やらなきゃな」という気持ちも残っています。しかし、あの「みなぎったやる気」は消え去っています。 それと同時に、大切なことを忘れてしまっています。盛り上がっていたからこそ湧いていたアイデアの詳細、大きな夢、そこに至る道筋、そんないろいろがぼんやりしたものになってしまっているのです。まるで、いきいきと動き回っていた恐竜が、動かない、乾いた化石になってしまうかのようです。 自分のアイデアを、感動を、人生の目的を化石にしない方法はただ一つ、行動することです。72時間、寝かせない。たった72時間で目標を達成はできません。だから、一つ一つ、できることから始めていくのです。 『「やらない理由ばかり考えるな」! …起業家教育のプロが語る「プランの立て方」に東大生も驚愕』へ続く
山川 恭弘