【明日の金ロー】物語に女優陣の”円熟の芝居”が加わって魅力的に生まれ変わった実写版「シンデレラ」
26日の金曜ロードショー(後9時)は、ディズニー映画の「シンデレラ」(2015年)が登場。1950年(日本公開は52年)のあまりにも有名なアニメ映画を、俳優であると同時に「ベルファスト」(21年)などのメガホンを執ったことでも知られるケネス・ブラナーが監督を務めて実写で製作された。 貿易商の父と優しく美しい母の愛情を受けて育ったエラ。だが母が病に倒れたことから、人生の歯車が徐々に狂っていく。やがて父は後妻を迎えるが、旅先で帰らぬ人に。実の両親を失ったエラは、後妻とその2人の娘たちから召使いのような扱いを受け、「灰(シンダー)まみれのエラ=シンデレラ」と呼ばれるようになる。 母の教えを守り、強く生きようとしていたが、耐えきれなくなるエラは、逃れるようにして森へ馬を走らせると、そこで一人の青年に出会う。城で”見習い”をしているという「キット」と名乗った青年の言葉に励まされ、エラは笑顔を取り戻した。そんなある日、城で王子の妃(きさき)を選ぶための未婚女性であれば誰でも参加できる舞踏会が開かれることが発表される。エラはキットに会うために会に向かおうとするが…。 もはや、ストーリーに説明などいらない作品だが、見たことのある人がより多いであろうアニメと実写版とは異なる点が幾つか存在する。例えば、本作ではシンデレラの母親が登場。どのような教えを経て、ヒロンがまっすぐに育ったのかを想像することができる。また、継母・トレメインの過去が描かれていることで、なぜシンデレラにきつく当たるようになっていったかを理解できるのではないだろうか。 さらに、実力派女優陣が物語の厚みを増幅させている。トレメインを演じるのはケイト・ブランシェット。米アカデミー賞ノミネートの常連で、最近では昨年5月に公開された「TAR/ター」の鬼気迫る演技が記憶に新しい。ブランシェットは天才指揮者を演じたが、物語中盤で学生たちとやり取りする長回しのシーンには戦慄を覚えた。 また出番は少ないながらも、シンデレラに魔法をかける妖精フェアリー・ゴッドマザー役のヘレナ・ボナム・カーターの存在感も彩りを添える。日本では映画ファン以外にその名前を知られていないが、名脇役として数々の作品に出演。ちなみに、ブラナー監督とは一時期、交際していたこともあった。(高柳 哲人)
報知新聞社