試合後には“満点スマイル”が弾けた! 卓球界の女王・早田ひな「補欠だった東京五輪からの3年間」
女王の圧勝だった。1月28日に行われた卓球の全日本選手権決勝で、早田ひな(23)は15歳の張本美和を4-0で退け、2年連続3度目の優勝を飾った。 【画像】かわいい…!試合後に張本美和と笑顔のツーショット 卓球女王・早田ひなの「素顔写真」 「この大会で6試合を戦いましたが、落としたゲームはわずか1。″手に汗握る熱戦″はなく、ライバルや観客に圧倒的な強さをただ見せつけるような展開が続きました。そんな早田は試合後、『今大会は技術だけで勝負するのがテーマだった』と笑顔で言ってのけた。まだ余力があったのか――。長年取材を続ける我々にとっても恐ろしい一言でしたよ。 たしかに今大会、『ひなバズーカ』とも呼ばれる持ち味の強打をあまり繰り出しませんでした。今後、この技術にいつものパワーが合わさったら、もう誰にも止められません」(スポーツ紙記者) 今でこそ無類の強さを誇る早田だが、’21年の東京五輪では、同世代の平野美宇(23)や伊藤美誠(23)に次ぐ補欠として女子団体の銀メダル獲得を見届けた。卓球コラムニストの伊藤条太氏はこう話す。 「平野や伊藤が幼い頃から頭角を現していたのに対し、早田は全国大会の初優勝は中1と、卓球界では遅咲きでした。なぜなら、目の前の試合に勝つためのスケールの小さな卓球を目指さず、とにかく思い切り打つことを指導されてきたからです。早田は現在167㎝と、女子卓球界ではかなり長身でリーチも長い。その武器を活かすためには、最初はミスショットばかりでも、ダイナミックなフォームを身に付ける必要があったのです」 一見すればリスクが大きいように思える方針の裏には、早田が指導を仰ぐ福岡の名門・石田卓球クラブとの絆があった。 「平野が所属やコーチを替えてきたように、成長に合わせて指導者も替えるのが卓球界の常識。ところが早田は、4歳から現在に至るまで、石田卓球クラブの設立者の親子に師事し、一貫して強みを伸ばすことに焦点を絞った指導を受けています」(伊藤氏) そんな大器が今、ついに完成しつつある。ダイナミックなフォームに筋力が追いつき、打球はさらに速くなった。 「五輪への道がこんなに過酷とは思わなかった。そこを最初から最後まで1位で駆け抜けることができてよかった」 パリオリンピック出場を決め、こんなコメントを残した早田の金メダル獲得の最大の壁となるのが、世界ランキングの1位から4位を独占する卓球大国・中国代表だ。 「昨年の世界選手権で早田は、世界ランキング2位の王藝迪(おうげいてき)(26)を下して銅メダルに輝いています。驚くべきは、早田が王道のスタイルで中国選手を倒したことです。日本人選手はこれまで、中国選手に奇策を講じて“作戦勝ち“することが多かったのですが、早田はがっぷり四つで世界最高峰の相手と組み合った末に勝利した。 試合中に見せる笑顔も脅威です。国を背負い、負ければ干されるという重圧の中で必死に戦う中国選手にとって、リラックスした早田の表情は不気味なんです。すでに実力、精神力ともに世界最高峰のレベルに達している早田ですが、納得するまで練習をやめない求道者のようなストイックさも併せ持っています。五輪までの半年間でさらなる成長を見せるでしょう」(前出・伊藤氏) 日本の女王は、当初の計画通り、着々と世界一の座に近づいている。 『FRIDAY』2024年2月16日号より
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