マンション大規模修繕 巨額“水増し”工事費の罠…!修繕積立金が足りなくなる「本当の原因」【マンション管理クライシス】
公共事業よりヤバい大規模修繕の受注現場
このように、物価上昇による影響は大きくないはずだが、管理会社や工事業者は管理組合に過大に説明して割高な工事費を正当化するのである。 住宅ジャーナリストが言う。 「中規模以上のマンションでは億単位のお金が動くのに、その運営を任されるのは、たまたま輪番で理事のイスが回ってきたズブの素人です。当然、工事の必要性や相場感、見積もりの取り方を知っているわけがないので、結局は管理会社や設計コンサル会社など、施工会社の間に入る修繕事業者の言いなりで『お任せ』となる。その方が理事会や修繕委員会も楽ですからね。 適正な金額で発注する上で、何より重要な工事会社の選定を修繕事業者に依存している時点で、相見積もりを謳っていても事実上は出来レースの随意契約とほぼ変わらなくなると思った方がいい。大規模修繕工事の受注の現場は、東京五輪の不正のように、マスコミや東京地検が追及することもない“無法地帯”です。業者間で談合やキックバックが発生していても、99%は露見することがない環境なのです。そんな環境で、彼らに自社利益を犠牲にして顧客本位を期待できるとは思えません」
不透明な工事費
問題は管理会社や設計コンサルが、工事費や設備更新費などから利益を上げる行為自体ではない。営利企業がサービスを提供する以上、対価が伴うのは当然だ。問題は、対価の取り方が不透明なことだ。そして不透明ということは、イコール、高額になりやすいことを意味する。 「例えば、金融商品や不動産仲介であれば、手数料の明示が法的に定められています。こうした措置がないと、高額化に歯止めがかからず、たとえ取引に同意があったとしても、情報力や判断力に劣る消費者は損失を被りやすいからです。しかし、管理組合の工事などの発注も、施工を行わない管理会社は、実質的に工事会社を仲介しているにも関わらず、手数料は明示されておらず、管理会社の利益を含んだ費用を『工事費』として説明している。 管理会社の手数料の割合が高すぎることが分かれば、管理組合が自ら見積もりを取るという発想も出てくるが、その価格が純粋な価格と誤解されていれば、割高でも『こんなものか』となってしまい、独自に見積もりを取るという行動が生まれにくい。管理組合にとって、公正な取引の機会を著しく阻害する要因と言えます」(同)
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